テスト

「綱吉兄さん、今日のテストはどうでした?」
















いつも通り教室の前で待ち構えていた弟の言葉に勤めて普通を装って答える。





「いつも通りだったよ」

「つまり駄目だったということですか」





う、バレてる。
わかっているなら言わないで欲しい。
ますます気が重くなる。

あー 雲雀兄さんになんて報告しよう。
きっと無言のプレッシャーが尋常じゃないんだろうなー。

親ではなく何故か長兄には報告の義務がある沢田家。
弟の骸は免除になっていることが羨ましい。

まあどうせ今日も全部満点ばかりだったんだろうけど。
同じものを食べて同じように生活してきたのに何故こうも違う。





「僕が教えて差し上げても駄目だなんて…」

「悪かったな・・・」





もうほどこしようがないですねみたいな気の毒な顔するな。
腹立つ。

俺の不機嫌をフォローしようとしたのか、慰めるように骸が言う。





「どんなに努力しても駄目なところも綱吉兄さんの魅力ですよ」

「そんな魅力はいらねぇ。
ていうかそれの何処が魅力?
そういうのは魅力って言わないだろ、欠点って言うんだ」





どんなフォローの仕方?
俺に俺の傷抉らせるようなことしてそんな楽しいのかお前。
頬を染めながら笑顔で頷きそうなので言わないが(そんなことしたら殴ってしまいそうだ)

大体兄に向かって魅力があるとか言うな、恥ずかしい。





「いえ、僕は綱吉兄さんのそういう可愛らしいところが大好きなんですよ」

「兄に向かって可愛い言うな気色悪い。
・・・まあでもほんと悪かったな。
お前もテストだったのに俺の勉強に付き合わしちゃったのに、こんな結果でさ」

「いえ、この先3年間程は必要なことは全て暗記していますので今更することもありませんでしたし、
綱吉兄さんのテスト結果が惨敗だろうというのは元々予想していましたから」

「・・・・・・・・・・・・」





この野郎。
弟に教えて貰う兄というのも情けないが、
教科書が配布されたその時にパラ見して相変わらずくだらない内容でしたねと宣う方がおかしいんだよ。

その時既に暗記も理解もしていたと聞いた時やっぱり俺は貰われっこなんだと悟った。
遺伝子学上は繋がっているとか戸籍上もほらそうだろとか言われても誰が信じるか。
此処まで現実を見せ付けられて紙切れ1枚がそう証明しているだなんて言われても無理がある。
眼に見えないDNAとやらはどうでもいいからちっとは似てるとこを教えてくれ。





「それに僕は綱吉兄さんといられるだけで、幸せですから。
ですから、その、
・・・・また僕と一緒に勉強して下さい」

「・・・・・・・・・・・・」





にこっと邪気の無い顔で、少し照れたように言われると、まあ仕方ないかという気になる。
自分が出来が悪いのに弟に当たってどうする自分。
もっと大人になるんだ。
大体頼むべきなのは俺の方だ、ごめんな骸。





「・・・俺からも頼んでい」

「単純で簡単な公式にうんうん唸っている綱吉兄さんの顔も悩ましげでぞくぞくできて良かったですし、
たった一つ出来ただけで可哀想なくらい喜ぶ綱吉兄さんも押し倒したくなるくらい可愛らしかったですし、
それから」

「もういいお前黙れ一人で帰れ」





礼を言おうと思った俺が馬鹿だったとツナは家に着くまで一言も口を聞かなかった。









































結局泣いて謝った骸を許してしまうお兄ちゃんは、自分で思っているよりも弟に甘いようだ





























あきゅろす。
無料HPエムペ!