これは喧嘩ではなく殺し合いというんだ

兄と弟。

二人は仲が悪い。

いや、悪いなんて可愛らしいもんじゃない。

仇敵、天敵、外敵、御敵… なんて類の、取り合えず『敵』って言葉が当て嵌まる。

よく弟が言ってる前世とかなんかでは敵同士だったんじゃなかろうか。


日常茶飯事なのは喧嘩ではなく、殺し合い。

しかも理由は大抵決まって相手が気に喰わないだの、風紀の為だの意味がわからない意味の無いものばかり。




中でも極め付けに意味不明なものが、







































「綱吉君を愛しているからですよ」

だ、そうだ。
・・・・・・意味がわからん。

「骸…」
「何ですか?」

機嫌よくニコニコしている顔を張り倒さない自分の忍耐に感心する。
あの人の言葉を借りるならワオ、以外とやるじゃないか俺、だ。

「今の戯言は寛大に聞き流してあげるから俺を君付けで呼ぶのはやめろ」
「綱吉?」
「はったおすよ?」
じゃあとばかりに呼ばれてイラッとした。

「そうじゃなくて、兄さんだろ」
何度このやり取りをしたのかわからない。
まあ呼ばれるのは兄貴でも何でもいいのだが。
名前を呼び捨てにされるのはやはりちょっと嫌だから。
そうと見えなくとも一応多分恐らく戸籍上は、兄として。

弟が無駄に自分より優秀で見目も麗しかったりしたら猶更だ。
少しは威厳を保たせてくれよ。



「―――― 何で僕は駄目でアイツは良いんですか」
「・・・お前なぁ、あの人はまた<別>だろ?」
「特<別>扱いですか」
「いやその<別>じゃなくてだな」
わかってる癖に拗ねたように言う骸に呆れる。
顔と頭が良く話術上手な弟は、大人振る癖に時々妙に幼い子供のようなことを言う。
そこが可愛いと思ったりするのだが、友人達には奇特な眼で見られた。
ほっとけ。

そもそも骸の言うアイツ ― 彼を贔屓している訳ではない。
只単に彼が、

「僕が大好きな綱吉の尊敬する兄だからだよ」

・・・じゃなくて、
只、兄だからというだけだ。それ以外の理由なんてない。


「雲雀兄さん…」
顔を手で覆った。
どうしてこのタイミングでこういうことをするのか。
態々相手を挑発しなくてもいいのに。

ツナは雲雀の体温を首周りと背中に感じながら溜息を吐いた。
「雲雀兄さん、あのですね」
「何?綱吉」
耳元で囁く兄に、そういうことは彼女にでもやってくれといってから首に巻かれた手を引き剥がす。
「照れなくてもいいのに」
「照れるような間柄でもないですし別に動いてなければこのままでもいいんですけど(引き剥がす労力が勿体無いから)」

「兄さんから今すぐ離れて下さい腐れ外道」

「ああ、もう・・・」
案の定不機嫌最高潮な声にげんなりする。
こうなるから嫌なのだ。
見ると、とてもとても笑顔の弟が凶器を持って立ち上がっていた。
只のコンパスだがコイツが持っているというだけで最悪な武器に見える。
あー・・・やめてー 警察沙汰だけは嫌なんだよお兄ちゃんー。

末っ子の言葉に長兄は興味なさそうに目を向ける。
「腐れ…?
ああ。賞味期限切れのパイナップルね。
鏡を見てごらん。見慣れたのが写るんじゃない?」
火に油を注いで何をする気ですかお兄さん。。。
「ほう日本語以前に人語が理解出来なくなったとは手遅れですね。
もう人界にいるのは無理ですからさっさと鳥の群れに帰ったらどうですか」
「群れる趣味はないし果物に命令される云われはないよ。
綱吉、刻み方は何が良い?只のフルーツカットでいいよね」
部屋を破壊しないならどうでもいいと思いながらもやはり兄弟で喧嘩(で済む位に留めて欲しい頼むから)は如何なものかと思い一応言ってみる。
「えー兄弟なんですから穏便に仲良くしま」
「「兄弟?綱吉(兄さん)以外にはいない(です)けど?」」
平然と言い切る様子とかオーラといか表情とか滅茶苦茶似てるよお二人さん。
「大体」
「「こんな虫唾の走る男の存在認めたことない(です)から」」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

兄弟達よ、同族嫌悪って言葉。
知ってる?









似てない似てないと言われる俺達だが、長男と末っ子は良く似ているとツナは思っている。



















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