※過去の『廻り合わせ』とリンクしてます
いよいよかという期待と、明日発砲されるであろう弾が誰の体を貫くのかということを考え涌いてくる恐怖。
相反するものは、感情を高ぶらせるだけで眠りに誘ってはくれない。
「大丈夫だ・・・!
何度も何度も計画は見直したし、弾もちゃんと自分で確かめたし、」
『・・・・・・しも、し?いち、く、』
「!」



1人ブツブツと布団を被って腕を握り締めていた入江正一は、そのノイズ混じりの声に、慌てて机に開きっぱなしだったパソコンに飛びついた。
勢いのまま大きな声を出しそうになるが、なんとかそれは押さえる。

「綱吉さん・・・!」
『・・・や、あ。正一・・・君、今平気、か・・・な?』
「ちょ、ちょっと待って下さいね」



逆探知防止に幾重にもかけたプロテクターの為か、繋がりの悪い回線をなんとか調節する。
現在の最先端の機器では侵入できないようにと、かなりアナログなものを使っているというのも関係あるだろう。
相変わらず酷い粗さの画面だった。


『やっぱりこの回線状態悪いみたいだね、俺の声聞こえる?』
「はい、今は何とか」
『そっか、良かった』




鮮明にとまではいかないが、今の自分の心を癒してくれるには十分の微笑みに、ほっとして、

『正一君、もうすぐだ』
「・・・・・・ッ、・・・・・・・・・・・はい」




静かに紡がれたその言葉に、心臓を握り潰されるかと思った。





































【 来たれ、一筋の光 】




































画面越しの彼は映像の粗さの為か、酷く顔色が悪かった。
実際はどうなのかわからないが、彼は眩しそうに眼を細める。
それは本当に幸せそうな表情だった。

『もうすぐ一番の可能性を持っていた頃の、オレが来る』
「・・・・・・・・はい」


まるで恋焦がれているかのような甘い瞳。
あの小さな少年を誰よりも待ち望んでいるのは、ミルフィオーレのボスよりも彼なのかもしれない。

『残念ながら、オレは会うことは出来ないけど』
「・・・綱吉さん、」
『でも、正一君が過去のオレを待っていてくれるなら。
それでいい』





心配なんて全然無いよと微笑みかけてくれることが嬉しかった。
幾らスパイとしてでもミルフィオーレに腰を落ち着けている自分は、ボンゴレ内部でも相当毛嫌いされている。
わかっていてもそれは辛いことだったから、余計に彼に僕は依存していた。

事実を知っているのは守護者ではあるが正確にはファミリーでない雲雀恭弥。
そして、眼の前にいる彼だけ。

否、本当に全てを知っているのはドン・ボンゴレだけだ。


彼がいなくなってしまえば、自分が味方だとわかってくれる人が皆無になると同じで。
だから怖かった。

それだけではなく、彼が消えてしまう。
仮とはいえ、一時でも彼がいなくなってしまうという事実がとてつもなく恐ろしかった。
やめよう。そう言いそうになるくらいに。






『確かに、十年前の俺は経験も体力も知力も今の自分より遥かに劣っていたけど・・・』

まあ十年も差があるんだから当たり前だけどとひょいと肩を竦める。
明日自分が射殺されるのだとわかっている者の明るさではない。

『でも、あの時の自分が皆との毎日の中で一番の成長と、意外性をもってたんだよね』
懐かしいなぁと頬杖をつき、次に少し憂いが瞳を過ぎる。

『あの時の、まだ白蘭のことを知らない昔の俺なら。
白蘭を倒せる一番の可能性を持ってる。
・・・・・・今のオレじゃ、とても無理だから』
ポツと呟いてからの沈黙に、正一は白蘭を心底殴りたくなった。
(綱吉さんは貴方をこんなに想っているのに…!)


恋情でも友情でも同情でもない絆。
二人にはそんな切っても切れない縁がある。
自分にはそれが何かはわからないけども、綱吉に此処までさせる白蘭が嫉ましい程羨ましかった。
ギリとさして威力のない拳を握り、唇を噛み締める。

そんな正一に気付いたのか、ツナは取り直すようにする。
『多分リボーンも同感だって、笑ってくれると思うんだよね』
「綱吉さん・・・」

消えそうな小さな笑み。

塞がったばかりの傷に気付かないようにしていることがわかって、自分がしたことではないのに謝りそうになる。
でも、「それはもう聞き飽きたし、正一君の所為じゃないっていってるだろ?」と返ってくることがわかっていたから。







「綱吉さん、約束して下さい」
『ん?』
「絶対に。絶対に帰ってくるって・・・・!」
『正一君・・・・』

何かを堪えているような必死の表情と、机の下で隠すように握り締めた手が小刻みに震えことを察したのか。






『・・・・・・・・・・・うん、誓うよ』





願望ではなく、確信の笑み。
誰もを魅了する琥珀が、一時鮮明に煌めく。

自棄になったのではない、意思の輝く瞳が優しく和んだ。





『俺は君を置いて消えたりしない。絶対だ』
「・・・・・・・ッはい!!」







いままで堪えていたけれども我慢が出来なくて。
正一は泣き笑いを浮かべた。



































暗い暗い棺の中。
一筋の光を夢見て眠る。

それは思っていたよりも退屈でも苦痛でもなかった。






どれだけ周りを心配させているのか、泣かせるのか。わかっていても。
俺は白蘭に手を向けることはもう出来ないから。

「・・・・・・・・・・・千年越しの片思いなんだよって言われちゃったらさー、無理だろ」








そして朧気ながら遥か彼方の記憶の断片を、思い出してしまったから尚更だ。
「まあ流石にそれは白蘭も、気付いてないだろうけど」








これで漸く、初めて会った時に泣くのではないかと思った理由がわかった。
「・・・・・・・不器用なヤツばっか」


自分を含めて。

きっと、置いてきた匣の中の住人は相当拗ねているに違いない。
泣いてなければいいがと些か心配になる。
でも、



「俺を任せられるのは、お前しかいないんだぞジョット?」








届かないとわかっていても、呟いて笑った。











<fine>
















































本誌がツナツナ過ぎるやろう!?と滾って思いつくままに書いていったらわけがわからなくなりましたなんかコレ白綱じゃね?(殴
絶対絶対ツナツナ書くんだひゃっほい!!
さり気無く過去捏造話とリンクしてますねコレ狙ったわけじゃないのですが気付いたらそうなってましたすいません_| ̄|○



おまけでアホ話(笑)



あきゅろす。
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