たとえそれが
言っている通りに期待なんてしていなかった。
ただ今の立場上確認はしなくてはいけなかったし、おいそれと人がこの世からいなくなることを好む性格でもなかった。
(まあ、多少の犠牲は止むを得ないが・・・)
そもそも通信機自体が駄目になっていたら、聞こえてもないよなと思ってから聞こえた微かな音に耳を欹てる。
まさか生存しているのだろうか。
『入江正一か』
「!!」
しかし口を開く前に通信機越しに聞こえたその声は、予想も。
ましてや期待もしていなかったものだった。
【 たとえそれが 】
(この声・・・!!)
最近の記憶にあるものより幾分高いが、落ち着いているのは同じ澄んだ声音。
一瞬で胸が締め付けられて、自分の今の立場を忘れかけた。
思わず何かを吐露しそうになったが、ぐっと我慢する。
代わりにぐるぐると一つのことだけが頭を巡る。
会いたかった、会いたかった、貴方に会いたかった・・・!!
何時からこんなに焦がれるようになったかなんて覚えていない。
でも確かに今も胸に残るこの温もり。
それは今は偽りを身に付けている自分が唯一手放さずにすんだもの。
心臓が高鳴る、頬が自然高潮する。
たった一言。
名を呼ばれた、それだけのことなのに。耳元で聞こえた人の声に陶然となる。
それでどれだけ待ち望んでいたのかが改めてわかって、今まで自分が我慢できていたことが不思議な位だった。
そんな自分を現実に引き戻してくれたのは、やはり同じ人だった。
『どこにいる?
研究所と丸い装置はどこにあるんだ!!』
「!!」
肝心なところで切れた無線。
耳に煩く響く雑音も、平淡なチェルベッロの声も遠い。
「研究所と・・・・・・・・・・・、丸い装置だと・・・!?」
(なんで、知って・・・?)
呆然となった。
過去から来たばかりの彼がアレを何故知っているのか。
いや、そんなことよりもアレを破壊するだと?
(馬鹿な、アレを壊してしまったら全てがメチャメチャに、今までしてきた事の意味が、)
彼の死が、水泡に帰す。
それは、彼の死という偽りが・・・・・・・、現実となることを指していた。
(冗談じゃ、ない・・・・ッ!!)
自分のあまりに恐ろしい考えにブルと身体を震わせた正一の瞳に、意思の光が揺らめいた。
それに併せ、彼の指には焔が燈る。
「研究所に指一本触れようとするものは、僕が始末する」
そんなことは、例え貴方本人でも許さない。
<fine>
新刊の正ちゃんの(この声・・・!!)の一コマの顔を見て改めて、ああツナたんの声聞けてよかったねvvとかアホなこと考えてたらこんなカンジに。
あああ正ツナブームvv
正ちゃん→ツナが好き過ぎてどうしよう(笑)!!
2009.2.6
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