最後だからこそ

「・・・・・・・・・はい?」



聞き間違いかと思って首だけで振り返ると、至って真面目な顔があった。
いや、でも大抵こんな顔してるから真顔かどうかはわからないけども。


























【 最後だからこそ 】





























取り敢えず、
(今、なんか幻聴聞いたような気がす)


「アンタが好きだボンゴレ。
どうしようもなく、堪らなくアンタのことが好きだ」
「幻聴じゃなかったーーーーっ!!」


しかも悪化(?)してるしっ!!
てかどうして!


「何で今言うんですか!?」
「後で言えなそうだから」
「いやまあ場合によっちゃあそうですけどね!?
でも貴方TPOって言葉知らな」
「・・・・・・・お前達は今すぐ殺されたいのか」
「滅相もございませんホントすいません」
「やだよ」


よりによってこんな人質取られて抵抗できない銃を突きつけられてる時に言うか!?
無言で引き金を引かれそうだったのでそう言いたいのを我慢した。


「やっとわかった。
アンタはモスカよりもずっと好きだってことが」


・・・・・・のに、まだ淡々言い募るスパナにツナは上げた手で頭を抱え込みたくなる。
しかも比べられているのはあのゴツイ巨体ロボ。
スパナにとっては最上級の言葉なのかもしれないが俺に一体どうしろっていうんだろうか。


「好きって言葉以外アンタに当て嵌まらなくて。
でもそれ以上の気持ちはあるのに、上手く言えない。
ジャッポーネの言葉はやはり難しい。
でもウチはこれ以外にアンタに伝えたい言葉がわからないから」


何度も。


「好きだ」
「スパナ、あのな、」


何度も。


「好きだ、アンタが好きだボンゴレ」
「スパナってば、頼むから・・・」
「どうしたらわかってもらえる、ボンゴレ。
ウチはアンタが、」
「・・・・ッスパナ!!」



何度でも繰り返される。

単調で、単純。

なのに複雑怪奇なその言葉の威力。



「俺は・・・・っ、ボンゴレなんて。名前じゃない」
「・・・・・・・・つなよし?」


ああもう、クラクラする。
胸なんか苦しくなる一方で、顔が火照って仕方が無い。


「綱吉」
「・・・・・・・・・ッ!!」


にっこりと子供のように向けられた無邪気な笑顔。
嗚呼もうなんでこんなに愛おしく思ってしまうんだろう!




「ウチは綱吉のことが、好きだ」
「・・・・わかったよもう」
「アンタは?」
「え」
「アンタはウチのことが好きか?」
「〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」











ああ、もう泣いていいかな?




「入江正一・・・、さん」
「・・・・・・・・・・・・・・・・なんだ」

何故かお腹を押さえて蒼褪め気味だった青年に切実に呟いた。



「あなたみたいなまともそうな人が、仲間だったらよかったなって、・・・すっごい今。思ってます」
「・・・・・・・・・・・・・・」







自分でも馬鹿だなってわかってるんですけどなんででしょうねとうふふと涙眼で笑っているボンゴレに、正一は今すぐ自分は仲間なのだといいたくなったとかそうじゃなかったとか。






<...fine>


あきゅろす。
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