約束

―― フウ太



いつもの声音とは違うものに振り返れば、何か言いたげな瞳。
淡いのに深いと感じるその色の人。

どうしたのかと尋ねる前に、彼は何でもないと首を振り、此方をじっと見つめた後、



―― お前には、いつでも笑って迎えて欲しいって思っただけ



晴れ晴れと笑って、迷いなく背を向けた。











それが僕の彼を見た最期。






















【 約束 】























カツカツと鳴るビアンキ姉の足音が早まった。
見れば熱い包容をする瞬間。
腕の中には昔のままの小さな姿。

もう離さないと言ってキツく抱きしめる女性を、やや手に余ったようにされるがままにしているのは小さなヒットマン。
その瞳がふと此方を見て、少し和んだのがわかった。


(頑張ったな)


口に出さずともわかるその言葉に、苦笑してうんとだけ返しておく。
それからそんな彼女にやや呆気にとられている少年の傍に寄ろうとして。

足が、止まった。




嘗て彼が、今の自分よりも小さかったのだと。
彼が小柄だったということに、今更に気付いて。

胸が、震えた。




既に彼が此処に、この時代に来ていると知らされていたのに。
わかっていたのに。
叫びたいような、泣きたいような、そんな堪らない喜びが、苦しみが、全身を駆け回って。






嗚呼、彼は 生きている・・・・っ!
(嗚呼、彼は 死んでしまった・・・!)




自分の眼の前で、
(自分の知らない所で、)



確かに息をして、
(確かに息を止めて、)



その足で立っている・・・ッ!!
(その足ではもう立つことも・・・ッ!!)



それがどれだけ幸福なことか!
(それがどれだけ不幸なことか!)


















先程苦笑したビアンキ姉と同じように、甘えて、抱きつけたらどんなにか良いだろう。

・・・・・・・・昔のように。




でも、できるわけが無い。




照れとか、もうそんな年じゃないとか。
そんなつまらないどうでもいい矜持なんて関係なくて。

してはいけないんだと、わかっていたから。





「無理ないよツナ兄」






微笑みかけた。







この少年は彼と似ていて、魂の資質も性質も。
全てが同じだけれども。






似て、異なるもの。

決して彼では・・・・、ない。






だから。













「へへっ やった!!ツナ兄より高い!」











もう交わすこともできない言葉を紡いで、笑わせて?

それがあの人と最期に交わした約束だから。














精一杯の微笑みを貴方に。













<...fine>
































・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・フウ太の、BDな、筈、なのに。
果てしなく暗いのは・・・・、何故 _| ̄|○

も、もっと明るいの書いてリベンジしてやる・・・・ッ!!(一体何時だか言ってみろ


2008.1.11


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