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『ねー正ちゃん正ちゃん、今』
「暫くほっといて下さいっていったじゃないですか貴方を相手にしてるほど暇じゃないんですよ僕は」
ぱっとまた突然画面に割って入ってきたドアップの陽気な顔に、正一は無表情ながらこめかみに青筋を浮べ辛辣に言葉を吐いた。

それに些か身を引きながら完璧に暇人と思われている白蘭は言い募る。
『酷ッ!それが部下に労わりのコールを入れてあげようとした優しい上司への第一声!?』
「は?何いってんですか聞き間違いでしょうから繰り返さなくていいですけど」
『マジ酷ぇ、正ちゃん!!』

ギャーギャーと画面の向こうで叫ぶ白蘭に、見かねたように黒いマスクを付けたチェルベッロが口を挟む。
「白蘭様、正一様はお疲れなので大概にしていただきたいのですが」
『君等も大概酷くない!?』
いつまでも続きそうなくだらない遣り取りに、うんざりとした正一は髪を掻きあげた。

「で?一体何なんですか本当は」
誤魔化しても無駄ですよという視線に、子供のように眉を下げていた白蘭は、途端豹変して笑った。







『沢田綱吉君。あの子、匣を空けたよ』
「な!?」








思わぬ言葉を告げられ、正一は絶句した。




































【 これは予想外!! 2 】

































『だからさー、今どの部屋にいるか捜して、映像こっちにも回して欲しいんだけど』
「沢田綱吉の姿が見たいからなんてふざけた理由だったら容赦しないですけどいいですか」
『よくないよ!?っていうか正ちゃん最近ホント俺に冷たくない!?』
「じゃあ、発見次第映像回しますからそれまで大人しくマシュマロでもしゃぶってて下さい」
『ちょ、』

白蘭から告げられた言葉に一瞬動揺を見せたが直ぐに行動に移した正一は無情に回線を切った。
仕事による疲れの為か、白蘭のせいで溜まったストレスか。
溜息がでる。
何故こんなに苛々するのかわからないが、最近の自分は冷静に欠けている。

「正一様、」
「チェルベッロ、悪いが一人にしてくれないか」
集中したいからと理由をつけて、室内から人を追い出した。





扉が閉まる音と共に肩に入っていた力が抜ける。

着慣れない上着を床に落とし、自分の匣でもある基地を動かし彼を捜す。
手に馴染んだ機器は直ぐに標的の発見を告げた。

ぱっと画面一杯に写った姿に、準備ができていなかった胸が軋んだ。

「沢田、綱吉・・・」
意識せずに出た名に、はっとして口を噤み首を振った。




何も知らないという顔をしている少年を見上げる。
初めて会ったあの時よりも成長はしているようだったが、この時代の彼とは違いとても幼く、脆弱ともいえた。





―――――自分はこの時代の彼を知っているから。





彼は何時だって遠くを見ていて、全てを見ていて。

・・・・此方を見てくれることなどなかった。




(いや、違う)

自分で自分の考えを否定する。




彼は何時だって自分も見てくれていた。
ただそれが自分だけではなく、彼の特別という訳でもなかったというだけで。



















またかけてきそうな白蘭の為に映像をリアルタイムで見れるよう転送してやり、席を立つ。

余計な装飾のない白い壁を見上げ、それの中心に静かに横たわっているその姿にほっとすると同時に、えも云われぬ虚しさが込み上げてくる。







こうでもしなければ彼を引き止めることも出来なかった、情けない自分。

自分をただ見て欲しくて。

それだけが望みで。








最後に、琥珀の瞳で見つめられたあの時、彼は全てわかっていたように見えた。
そしていつもみたいに苦笑して、眼を閉じた。




「・・・・・・・・・・ッ」

唇を噛み締める。




引き返すことはできない。

でも時々立ち止まり、振り返りたくなる。







本当に自分は彼を手に入れたのか?

本当に彼は死んでいないといえるのか?







「こんな風に、利用しているのに・・・?」








ぼうと仄かに輝く、自分には眩しすぎる炎の膜に覆われている彼を見ることが出来なくて、背を向けて部屋を出た。

彼を見つめる資格もないと告げられるのが恐ろしくて、正一は背後を振り返ることもしなかった。

































「お?早速だ、流石正ちゃん」
仕事速いね〜と言いながら、白蘭は写った映像に顔を綻ばせた。

写真で見た通りの、まだ青年ともいえない幼い姿。

「かっわいい〜〜〜ッ!!」
一人うきゃうきゃと白蘭は声を上げる。
正一がいたら冷ややかな目線でもって凍らせたことだろう。
しかし誰も突っ込むものがいないので白蘭はご機嫌に機器を弄り、画像をギリギリまで引き伸ばす。

巨大スクリーンのようにしてから満足げに見上げ、
「ん〜〜〜?」
白蘭は首を傾げた。
予想していた姿がない。

匣は持っているようだが、肝心の姿が見えなくては意味がない。
何処か別のところへ行かせているのだろうか。
炎からそう離れてはいられないことは確かだが。

「見たかったのになー、歴代ボンゴレの中でも最も呪われし亡霊・・・だっけ?
えーと名前は、」

ごそごそと書類を漁り、見つけた名前に満足げに笑う。





「そうそう、ツナちゃんのご先祖様の Giotto 君」




変わってないといーけどなーと言いながら、白蘭はもふもふとマシュマロを頬張った。















<...fine?>

































あれ?

何か気付いたらシリアスみたいになてる。。。



ただ自分は『これは予想外』の正ツナでも書こうかなーと思っていただけなのに・・・



暑いから?暑さにやられたか自分?

しかも変なとこで終わらせおってからに・・・




UPするのやめようかとも思いましたが(パラレル寄りになってきてるし/汗)いつもの如く勿体無い精神で晒してしまいました(殴


あああああアダノの明日はどっちだ _| ̄|○








あきゅろす。
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