伝えたい言葉があった

伝えたい言葉がある








伝えたい言葉があった







でも もうそれは届かない






































【 伝えたい言葉があった 】





































「あ、誕生日おめでとう骸」















「・・・・・・・・・貴方、驚かないんですか」
仰向けの状態で見上げられながら、そういえばと思い出したように言われた骸は少し沈黙してから言った。
此処は如何見ても現実の世界ではなく、生きた人がいるべき場所でもない。
まあ大きな戦いの前に休息についていたこの少年を呼び寄せたのは自分であるが。
確か十年前の彼はもっと感情が直ぐ顔に出る子供だったと記憶していたのだが、
予想と異なり、随分と落ち着いているようだ。

「ん、まーね。
俺も少しは成長したってことで」
「どこら辺がでしょうかね」
「・・・相ッ変わらず厭味な奴だな〜、お前」
冷めたようにジロジロ見下ろされ、ツナは顔を引き攣らせる。
守護者の中では一番心配していたというのに。
全くいい性格の男だ。

よいしょと身を起こし、自分が寝かされていた其れと敷き詰められるように飾られている花に気がつく。
(そっか、俺今・・・)

其処を少し眺めたあと、

「ごめんな」

ツナは俯いたままポツリと呟いた。
突然の謝罪に訝しげに骸は片眉を上げる。
「何故謝るんですか」
「祝ったのが十年後の俺じゃなくて」
「・・・・・・・・・・・」

顔を上げ、真っ直ぐ此方を見上げてきたツナに黙る。

「お前が会いに来たのは俺だけど、俺じゃないだろ?
だから、ごめん」
「・・・・・・・・・」
「嘘吐いて、・・・ゴメン」
「!?」
「ちゃんと、次は自分の体で謝るから。
それまで待っててくれな」

それは、年端もいかぬ少年の瞳ではなく。
「ボn・・・ッ!」

骸が気付き名を呼ぶ前に、
少年は真実を覆い隠すように瞼をおろす。
一瞬体が揺らいだ後に再び開かれたものには、澄んだ真っ直ぐなものだけが宿されていた。
「・・・んぁ?此処ど、
ッて骸ーーーーーーーーーーーッ!?」






(・・・わざわざ伝えに来なくても、)



良かったのに。






「いぃ!?」
混乱しているツナの手をとり引き寄せる。

「馬鹿な人ですね、本当に・・・」
「む、くろ・・・?」

色々聞きたいことはあったし、困惑していたが、
壊れ物を扱うようにされ、ツナは取り合えずふと思いついたことを言った。








「あ、誕生日おめでと骸」

確か今日だよね。クロームから言われたんだーというツナに、

「・・・・貴方、やっぱり成長してないですね」
「は?」

骸は苦笑した。





































伝えたい言葉があった







伝えられない言葉があった







でも もうそれは届かない































だから 直接伝えに行こう

言葉が届く 君の直ぐ傍まで















<fine>









骸おめっとう!

大人ムックはアレだと思う。
十年前の姿のツナたんも好きだけど、やっぱり一番は十年後のドン・ボンゴレになって今はスリーピングビューティーな大人ツナなんだと思うなー。

2008.6.9


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