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「うん、意味わかんないかんなっていうか出て来いそこのナッポー国の異星人」





壁からはみ出ながら此方をそっと窺っていた男を、ツナは笑顔で呼んだ。
男、六道骸は一瞬ビクリと体を震わせるが業とらしく笑いながらゆっくりと出てくる。

「おや、誰を呼んでいるのか知りませんが偶然ですね、ボンゴレ」
「お前の場合全部既成の偶然だけどな。
まあそれは警察に連絡するからどーでもいいけどコレ何?」

ツナはついとクロームが持っているプラカードを指差す。
そこには『ボンゴレの浮気者ぉぉ!!』と感情を爆発させたような荒んだ文字が大きく書かれていた。

「見たままの意味ですよ、心当たりがおありでしょう?」
「1ミクロンもないんだけど」
胸に手を当てて考えてみなさいと聖職者のような顔をしてのたまう骸にツナは青筋を浮かべる。

「先ず俺が何をしようとお前に浮気者と称される理由が思い当たらない」
「貴方は・・・、まさかあの日誓い合ったことを忘れたんですか!?」
「酷い目に遭ったことはよーく覚えてるけど?
てかお前の脳内捏造虚像妄想劇場内の話は聞いてないからね。
クロームにまでこんなことさせて、お前何考えてんだよ」
「貴方のことだけを朝から晩まで四六時中ひたすらにお」
「スイマセーン黒曜中の皆さん貴方達の親分さん連れて帰ってくれませんかー」

ツナが声を出すと、それに呼応するようにウンザリしたような顔の柿本千種と臭い〜と鼻を摘まんで顔を顰めた城島犬がマンホールを持ち上げ這いでてくる。
それぞれの眼には明らかに憔悴の色が見てとれた。

「骸様拒絶されて満足されましたか?残念でしたね」
「じゃあ帰るびょん」
千種が棒読みで慰め、返事も何も聞かずにガシッと骸の肩を掴み犬もそれに習って引き摺って行こうとする。

「ちょ!何決め付けてかかってるんですか二人とも!
しかも慰めない方がマシな言い方も人の話を聞かずに引っ張るのもやめなさい!大体僕はまだボンゴレに用事が!」
「あ、俺にはないから気にしないでいーよ二人とも」

ツナにのみ軽く頷き二人は歩みを止めようとはしない。
「そんな、ボーンーゴーレー!僕は浮気は許しませんからねー!」
「まだ付き合うことは愚か知り合いにもなってないのに何言ってんですか。
あと近所迷惑ですよ。犬」
「うぃ」
連携よく骸を簀巻きにし、口を塞いで黒曜組はさっさと歩いていった。

「・・・・・付き合ってくれてありがと、ボス」
クロームも、ほっとしたようにしてツナに頭を下げると小走りで後を追いかけていった。












ツナもそれに手を振ったあと背を向けようとして、その場に唯一つ残ったプラカードを見やり、不満げに口を尖らせる。

「・・・・・・・・・・・・最初っから決め付けてかかるなよな、もう」








自分はもう余所見をしていることなど出来ない位だというのに。








「骸のバーカ・・・・」









少し剥れながら呟いた。













<...fine>


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