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俺様な家庭教師様は仰った。








「オメーもたまには雲雀みてぇに、堂々としやがれ」

「・・・・・・はぁ?」
こちらもいつも通り暇そうにゴロゴロしていた生徒は胡乱気に規格外な家庭教師を見上げる。
(またわけのわからないことを)

「何無理っていうかわかりきってるてか寧ろ不可能が決定しきってること言ってるんだよ」
全く取り合わずツナはお菓子を頬ばった。
こういうわけのわからないことを言うリボーンの相手などしない方がいい。
碌なことにならないのだから。

完全無視を決め込んだ生徒に、家庭教師は極悪な笑みを浮かべる。
「やってみなきゃわかんねーだろ」
「だから無」
「死ぬ気でやれ」
「んがっ!?」




沢田綱吉の家庭教師がいつもの気紛れで無理難題を思い付きで早速実行したその日。

平和な住宅街には不釣り合いな発砲音ののち、沢田家にはもう一人の並森風紀委員長が誕生した。
































【 風紀委員長のすすめ 】


































「……?
ツナ、だよな?」

やや遅刻になりそうな時間。
校門近くまで走ってきた野球少年、山本武は眼を瞬いた後首を傾げた。

今少し目の前を歩いているのは山本の親友である沢田綱吉だ。
それは間違いない。

あのふわふわな色素の薄い髪も、抱きしめたら折れてしまいそうな華奢で小柄な後姿も、間違いなく彼のものだ。
自分は大好きなあの少年を後姿でも見間違ったりしないから。

それなのに、山本は一瞬彼をある人物だと思ってしまった。
あの少年とたった今思い浮かべた危険人物だが先輩である彼は、全く似ても似つかない者同士だ。
似ているといえば、それは強いというだけであって。
見た目も、目付きも、話し方も、笑い方も。似ているものなど一つも無いというくらい違った。

「大体アイツいっつも学ランだしな」
並森の制服はブレザーで、勿論校則にもかかれているのだが風紀委員は違う。

「風紀委は特別なのなー」
独り言を言ってから足を早める。
何故見間違えたのかということは深く考えず、さっさとツナに声をかけることにした。
元来考えるより行動する方が得意なのだ。

「よぉ!ツナ!」

軽く背中を叩く。
この時は、いつものように、琥珀の瞳は驚きに染まり、直ぐに嬉しそうなものに変わるのだと思っていた。

「山本武…」
「どうしたんだ?今日は偉く早いみてーだけど」

しかし山本の予想とは異なり、ツナは笑いもせずに振り返った。

「何か用?」
「用って…。別に無ぇけど?」
「ふぅん。じゃあ俺に近寄らないで」

そっけなく言ってそのまま行こうとするツナに一瞬呆気にとられたあと、慌てて腕を取る。

「何?」
無表情に近いが不機嫌そうな声音に戸惑う。
今までに彼にこんな、知らないものを見るような瞳を向けられたことなどない。

いつだって彼は、自分に笑ってくれたから。


「ツナ?何言ってんだ?」
「弱い動物みたいに群れるの。嫌いなんだ」

そう言って腕を振り解き、驚いて固まったままの山本を置いてツナは先へ歩いて行く。



少し離れた所から鳴り響くチャイムを何処か遠くで聞きながら、山本は茫然と目を瞬いた。
「雲雀でも乗り移ったのか、あいつ・・・」











その仕草も表情も口調も。
並森風紀委員長、雲雀恭弥そのものだった。



















<・・・fine?>



































次は教室あたりでG寺さんが被害に遭うカンジです(笑)

結構前に書いてて微妙だからUPしてなかたものなんですが、いつか書き直そうと誓ったので勘弁したって下さい _| ̄|○


あきゅろす。
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