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「なあ骸、お前のこの世を憎いって思う気持ち。
ちょっとわかっちゃったよ」
その原因がお前だなんて、何て皮肉だろう。
別に教えて欲しいと思ったこともないのに。
泣き疲れて膝で寝てしまった少女の髪を梳くように撫でながら、苦笑した。
「・・・ホント、お前らしいったら」
冷静な感情と、言葉とは裏腹なのか。
涙が頬を伝うのを感じた。
それが少女に降りかかる前に頬から払い除ける。
この子にこんな穢れたものを触れさせるわけには、いかない。
薄汚れるのは自分一人で十分だ。
「・・・・俺、お前と同じ穴の中の貉になっちゃったよ」
会ったらちゃんと責任取ってくれよなと軽く笑った少年の瞳は、酷く優しく凍えた色をしていた。
この日、沢田綱吉という平凡だが心優しい少年は消えた。
満足そうに笑った彼の名はドン・ボンゴレ。
マフィアを統べる帝王となる男。
瞳に燈るは一つの意思のみを湛えたフィアンマ。
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