2

雲雀恭弥は正直に言ってしまえば、いまいち状況がわかっていなかった。
ただ気持ちよく寝ているところを起こされ、群れにイラつき、気付けば妙な筒の中に閉じ込められる始末。
小動物が自分達を気にして動けないことに腹が立って。



そして、































【 fiamma 】































憎悪

怒り



発せられるそれらが、驚くほど純粋で綺麗なものだと感じた

それ以外の感想は抱けなかった










彼の眼から大粒の涙が零れ落ちる

絶え間なく



見開かれた大きな瞳は閉じられることもなく



ただ一点を見つめている



本来ならば揺らぐ筈がないただの映像が、歪む







天を焼く程に噴き上がる炎


怒りのフィアンマ






彼が先まで灯していた、何処か暖かな美しいものではなく




生きとし生けるもの全てを滅し尽くすような焔




それは燃え盛っているというのに酷く冷たい印象を受ける






業火






さあ今こそ、己が魂を焼き尽くそうと、謳歌するが如く





彼の命を危惧するべき劫火を纏い歩を進める姿に
誰かが声を上げども彼は厭うこともない







絶え間なく零れる雫が流るる傍から瞬く間に昇華する様は、いっそのこと幻想的に美しく


炎と一体となりチリと燃え逝くは彼自身か




































雲雀は怖いと。

何かが恐ろしいと、初めて感じた。



この眼の前の小柄な、脆弱な筈だった少年を。











・・・・・・・いや、これは本当に、自分の見知ったあの少年なのだろうか?











「―――― 君は、誰?」










認めたくなくとも動かない四肢






確かに己は怯えていた






あまりに深い、大気を震わすその感情に












あきゅろす。
無料HPエムペ!