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雲雀恭弥は正直に言ってしまえば、いまいち状況がわかっていなかった。
ただ気持ちよく寝ているところを起こされ、群れにイラつき、気付けば妙な筒の中に閉じ込められる始末。
小動物が自分達を気にして動けないことに腹が立って。
そして、
【 fiamma 】
憎悪
怒り
発せられるそれらが、驚くほど純粋で綺麗なものだと感じた
それ以外の感想は抱けなかった
彼の眼から大粒の涙が零れ落ちる
絶え間なく
見開かれた大きな瞳は閉じられることもなく
ただ一点を見つめている
本来ならば揺らぐ筈がないただの映像が、歪む
天を焼く程に噴き上がる炎
怒りのフィアンマ
彼が先まで灯していた、何処か暖かな美しいものではなく
生きとし生けるもの全てを滅し尽くすような焔
それは燃え盛っているというのに酷く冷たい印象を受ける
業火
さあ今こそ、己が魂を焼き尽くそうと、謳歌するが如く
彼の命を危惧するべき劫火を纏い歩を進める姿に
誰かが声を上げども彼は厭うこともない
絶え間なく零れる雫が流るる傍から瞬く間に昇華する様は、いっそのこと幻想的に美しく
炎と一体となりチリと燃え逝くは彼自身か
雲雀は怖いと。
何かが恐ろしいと、初めて感じた。
この眼の前の小柄な、脆弱な筈だった少年を。
・・・・・・・いや、これは本当に、自分の見知ったあの少年なのだろうか?
「―――― 君は、誰?」
認めたくなくとも動かない四肢
確かに己は怯えていた
あまりに深い、大気を震わすその感情に
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