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鈍い鈍いと言われたきたツナだが至って本人は普通だと思っていた。
だがある日を境に考えを改めることになる…。












きっかけはある仮補佐の嫌味から始まったことだった。
随分と嫌な始まり方だが事実だから仕方が無い。









































「おめーな…
そんなんじゃ何時何処で誰かに犯られたって文句言えねーぞ」







































つーか俺が襲うぞというリボーンに、ソフトクリームを自分とリボーンに零して慌てて拭いていたツナは硬直した。




次いでみるみるうちに蒼褪めてバネ仕掛けの玩具のように飛び跳ね、後ろの書類の山を崩した。
お陰でこれまでの2時間がパアになったが、今はそれどころじゃなかった。


深く傷付いたという顔をして、甘いものが染みたタオルをぎゅっと握り締める。



「殺られちゃうの俺!?
ていうかリボーンも俺のこと殺る気だったの!?」



・・・・・。
発音は其処まで違いはない語句。
犯ると殺る。
どっちも悪い言葉なのは変わらないが、
会話だけでは伝わらないのでその違いに気付くことなく会話は進んでいく。


「し、信用してたのに…っ」
じんわりと滲んだものを直視出来ずに不貞腐れたようにリボーンが眼を逸らす。

「うっせー俺だって男なんだから仕方ねーだろ」
一日の殆どをこんな可愛らしい(しかも想い人)ボスと一緒に過ごしている男からすれば、
今まで我慢してきたことが不思議なぐらいだった。
しかも相手は全くこれっぽっちも正直腹立つくらい気付いていないので距離が物凄く近い時もあるのだ。
これに耐えろという方が酷い。


「いや仕方無いで済まされちゃ困るんですけど!?
てか漢だと皆そうなの!?」

漢らしいと俺のこと殺りたいって思うものなのか!?
俺が弱いから!?
って雲雀さんじゃないんだからそれはないよね!?


しかし勘違いしたままのボスからすれば、軽く仕方ないだろと言われても同意なんてできる訳が無い。
考え直して落ち着いて気に喰わないところ(駄目さとか)は直すからと必死に訴える。
そんなもん(可愛らしさとか)直せるわけねえだろとリボーンは取り合わない。
ツナは益々ショックを受ける。


「まぁ俺は紳士だから責任はとってやるから安心しろ」
「何で安心できるんだよ!?
紳士はまずそんなことしないしとるくらいなら初めから止めてくんない!?
てかとってやるとか随分偉そうだなお前!!」
警察に自主するくらい正常な思考を持ってんのになんで!?


殺すぞと言われている(と思っている)者の反応なら当たり前だが、
あまりに必死に拒否するボスにリボーンはむっと眉を顰める。


「…他の奴ならともかく何で俺を其処迄拒むんだテメー」
「誰が相手だって拒むし、誰でもこんなこと言われたら拒むよね!?
痛いのも苦しいのも厭だって!」


本当ならばツナの言う殺られる状態になったら痛いで済むわけがない。
信じられないのかリボーンは疑わしそうにツナを見る。


「京子が相手でもか?」
「京子ちゃんにまでそんなこと言われたら俺は自ら死を選ぶ!!」
何で!?俺そんなに皆に憎まれてるの!?


ツナはもう泣きそうだった。
しかし会話のズレに気付かないリボーンは自分に自信があるためまだ言う。


「そりゃ最初は苦しかったり痛いかもしんねーけど、それが気持ち良く」
「なんないからどんだけマゾ!?」

その前に死んじゃうから!

「いいから一回試してみろ。何事も経験だ。
俺の手にかかれば病み付きになるぞ?」
「一回どころか一回のみしか経験できないって!
お前の手にかかったら病み付きどころじゃなくて一発で昇天だろうがーーーーーーー!!!」
額に穴開いてからじゃ取り返しつかないんだろーが!!




























このヒットマンが標的を見誤ったところなど見たことない元生徒は、
もうこれ以上の押し問答は無駄だと考え彼の銃口から逃げる為に全力で逃げ始めた。







いくら言っても伝わらない嘗ての師弟同士の会話と追いかけっこは、もう一人の仮補佐が来るまで暫く続くことになる。









あきゅろす。
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