YES.NO
1 日目の夕方、休憩時間に
それは、バイトの休憩時間の時のコト。
「ユウタさんが好きです。付き合ってください」
真っ黒な瞳がまっすぐ俺を見つめながら言った。
「…俺、男だけど」
若干戸惑いつつもそう返すと、リクはその返事を待っていたかのように一歩俺に近づき、さっきよりも幾分か大きな声で言う。
「知ってます」
だろうな、と心の中で相槌を打つ。
昔から中性的と言われていても、今の恰好はどう見ても男の恰好だし、大体以前から同じバイト先で働いているんだ、俺が男だという事実をリクが知らないはずがない。
少し短いため息をついてから、俺は静かに言葉を返す。
「ごめん。俺、ノンケは駄目なんだ。」
意外に冷たい言い方になったな、と頭の中で思いながら何か言おうとしたリクを置いてバイト先へと戻った。
あいつはノンケだ。
今までたびたび、バイトが終わる時間になるとリクの彼女が迎えに来ているのを見かけたことがあった。
女の子はちっこくて、可愛くて、それでいてリクは背が高くて、そこそこイケメンだから遠くから見ても本当にお似合いのカップルだった。
なんでそんな奴がいきなり。
動揺しながらも、今はバイト中。
心の状態が表に出やすい俺は、さっきの事をなるべく心の奥に押しやって、リクの顔を見ずに必死に仕事に励むふりをした。
こっちを見つめる視線は、気のせいということにして。
[戻る]
無料HPエムペ!