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企画
ダリア


君は小さい頃から、本当に馬鹿で弱くて。俺が毎日面倒を見てたよね。

友達にいじめられて泣きじゃくる君を
俺が助けたのは最近のようにも感じる。

朝寝坊して、慌てて玄関を出てきた
君の姿を見て、俺は何回笑ったのかな。

ネクタイはうまく結べてないし、
寝癖は付いたままで、靴は左右逆。

それを遅刻してでもいいから、
俺が全部直して君はありがとうと笑う。

そんな、放っておけない君が
大好きで、仕方なかったんだ。

けれど、このまま俺がずっと
やってあげるのは
君が成長出来ないんじゃないか、と。
心配で心配でたまらなかった。

はぁ、と溜め息を吐くと
つまらない授業から少しでも
抜け出そうと窓の外の景色を見た。

綺麗な空。

(今日はよく晴れた日だ。
…空が青いなんて。)

にこりと薄ら笑いを浮かべると、
少しだけ幸せな気分になった。

けれどそれは一瞬で終わった。

その幸せな気分をぶち壊したのは、
俺の視界に、大好きな彼女がいじめられている現場が入ったから。

目を見開いてガタッと席を立つと
一目散に教室から飛び出した。


「なんであんたなんかが私達の幸村君と居るのよ!」

「離れなさいよ!」

「嫌だ!精ちゃんはものじゃない!」

パシンという乾いた音が響く。
それは私の頬の1部分を真っ赤にさせた。


「生意気なんだよ!」

「確かに私は可愛くないし、平凡だよ。それなのにかっこいい精ちゃんの隣に居て気に食わないのは分かるよ。
でも、今まで小さい時からずっと一緒に居たのに…今更離れるなんて無理だよ」


自分で言っていて悲しい。
どうして私は可愛くないのかな。
なんて、後悔ばかり押し寄せる。

すると、背後から温かな感触が。
慌てて振り向こうとしたけど
その前にいつも一緒に居る彼の優しい
匂いが鼻先をかすめた。


「許せないな。俺のものに何てことするんだい?」


「精ちゃ…」

慌てた様子の彼女達は、言い訳ばかりを
考えて何を言ってるかさえも分からない。
そんな彼女達を前に、彼は見せつけるかのように唇を重ねた。
いきなりの行為に、私も彼女達も驚きを隠せずにパクパクと口を開いた。


「こいつに何かしたら、俺を敵に回すことになるからね?分かったかい?」

彼がニヤリと不適な笑みを浮かべると
彼女達は顔を真っ赤にしてその場を去っていった。

「精ちゃんっ」

私は嬉しくて思わず笑みを零した。

俺は毎回この笑顔を見て思う。

例え、寝癖がついたままで、靴は左右逆。ネクタイは上手く結べない世話のかかる奴でも…




ダリア
(いつまでも綺麗なままで居てくれたら)

(それだけで俺は良いと思うんだ)




綺麗には、心、容姿など様々な意味を込めました。読者様の思うままに^^
それと、一部ダリアより歌詞を引用致しました。



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あきゅろす。
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