[携帯モード] [URL送信]

sss
『祝』
※平凡×男前


「スキデス。ツキアッテクダサイ」
「はい、宜しくお願いします」

放課後の屋上で一組のカップルが誕生した。

一人は一年B組の佐々木ヒロ、さして華の無い顔だちに、トレードマークは太い黒縁のスクエア眼鏡。
下駄箱の手紙に従い屋上へ来て、告白されイエスと返した方。
 もう一人は二年C組の加藤敦史。佐々木を呼び出し告白したのがこの加藤だ。外見の特徴は、佐々木よりも少し高い身長、耳を貫く複数のピアス、顔は文句無しの男前。

佐々木のハッキリした了承の返事に、告白した当の加藤は目を見開いていた。その反応の意味を測りかねて佐々木が覗き込むと、加藤は踵を返し、足早に屋上出入口へ向かってしまう。
一人取り残された佐々木はしばらくそのまま立っていたが、自分も屋上を後にした。



翌朝。

「はよー」
「ぁよ」

佐々木は自教室の席に腰を降ろす。
まだ寝ぼけているような佐々木に、先に登校していた隣席の山田が声を掛けた。

「ヒロ、昨日の呼び出し何だった?」
「告られた」

告白と聞いて山田の顔が凍る。
ここは男子校だった。
山田はてっきり、因縁でもつけられたかと心配していたのに。

「ぇええええ………」
「彼氏出来た」
「そしてオッケーしたのかよ!?」

聞かれてもいないのに佐々木がしゃべる。
その口元が少し緩んでいる。

「ナニお前ホモだったの?」
「知らん」

昼休憩。
いつも佐々木と山田は自分の席周辺の生徒と、集まるでも無く集まった、という感じで雑談しながら昼食をとる。
佐々木が弁当を広げようとした時、教室の扉からお呼びが掛かる。

「さささ佐々木!!」

手を止めて見ると、クラスメイトが顔を引き攣らせて佐々木を手招いていた。
その隣に、昨日彼氏となった加藤が立っているのを認めて、ああと頷く。加藤はその男前さよりも悪名の方で有名な先輩だったので、同級生の反応も納得出来る。
加藤の左手にコンビニ袋が下げらていたので、佐々木は弁当を持って席を立った。
ポカンとしている山田に佐々木は「昼抜ける」と一言残し、加藤の元へ。

「加藤先輩、どこで食べますか?」
「……屋上」
「行きましょう」

佐々木と加藤が視界から消えてからしばらく、一年B組は騒々しいままだった。



終.



28/38ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!