第二の人生
5
一面の白が視界をジャックした。
あまりの眩しさに開きかけた瞼は本能的に閉じて、それでも薄皮越しの光は遮れない。
顔を背け、頬に柔らかい布の感触をうけた。
ああ、ベッドの中、か。
脳が揺れる、その原因は何や知らん眩しさ……と、気付く。
覚醒直後ののほほん回路が一瞬にして塵と化した。
まぶしい、とか、無いだろ。
夜が活動時間であるあの城で、ほとんどが石のブロックに遮られ密閉されたあの城で、眩しさなんて体感した事は無い。
頬に当たる布地の質感も、あの部屋のシーツとは違う。
うつ伏せた姿勢のままかろうじて薄目を凝らすと、強い光にぼんやり確認出来た“白"のシーツ。
ここは、どこだ。
「目が覚めたか、我が宝玉よ」
突如、耳元に囁かれた幼い声には聞き覚えは無かった。
あんまり突然なもんでまたも硬直するおれ。
ついでに背筋に悪寒ときたもんだ。
訳が分からない、普通に寝てて、自分の寝言にびびって起きて、いきなし小さい美女が出てきて赤い円が………
………だからってここはどこでなにがどうこうしたら黒いシーツが白に!??
「………う」
「ん?何か言いたいのか?申せ」
知らないガキがガキらしくない口調で何か言ってるが、おれのすべき事は、今度こそたった一つである。
「ウギャアアアアア!!!!!!!」
かつてない絶叫。
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