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第二の人生


4

「駄犬。どうやら“人間"に嫌われず済んだようだな?」
「黙れ」

ヤンキー座りのまま、外交官の口角が上がる。
対するゼノは喉奥から低く唸り、威嚇の体勢だ。

やっぱりソルトさんも知ってたんだな。
こいつの破綻した性格からして、しゃべんの我慢してるゼノを見るのはさぞ愉快だったんだろう。
今も、かつてない歪んだ笑顔が満開だ。

…なんて検証してたらますます空気(主にゼノの)が悪くなってきたので口を挟む。

「あいつ、まだ仕事?」

おれの問いにソルトさんは興がそがれた、と立ち上がり答える。
位置的にも精神的にも、たっぷりと見下された感じだ。


「陛下は隊の配備をされているが、直ぐお戻りでしょう。たかが人間一人の為に陛下直々に編隊される等とは世も末だ。分不相応の光栄をそろそろ御理解頂けませんかね」
「す、すんません……」

こと、こんな話題には謝る他道は無い。
ともあれあの男も戻るらしいのでホッとした。

隊がどうの、とか、不穏な単語は二人になれた時に話そう。
おれのせいでこれ以上人間と魔族の距離が開いても心臓に悪い。


「にしても、おまえらって仲悪いんだなあ…」
「教育の師に“お前"とはずいぶんな口利きだな、人間」
「……仲と呼べる付き合いは無い」

話を変えようとポロッた一言に外交官が過剰反応にプチギレ、が、次いで放たれたゼノの言葉に再び笑みが戻る。



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