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第二の人生


6


ぺとっとした頬に触れて感じるのは不快感ではなく喜びで、脳内はぱやぱやと緊張感ゼロ化すおれ。

「えへ、へへ〜…」

晴れやかな高原をスキップしてるような愉快な幻覚に身を委ねていた。
そのせいで。



ガチャン

突然の施錠の音が鼓膜を震わせるまで、うっかり我を失っていた。

「な…、な!?」

いつの間にか真っ暗。
箱状の暗室に閉じ込められてるではないか…!

きょろきょろと見回すと、幕付きの格子窓を発見して、慌てがちに顔を寄せた。
幕を上げ、格子の隙間から見えたのは寝室の扉。
ぼけてる間に部屋の外へ出ていたらしい……。

自由の利かない視界に何とかゼノを見つけて、安心する。
声を掛けよう、と思った瞬間に目の前がグレートーンに侵された。

「返事は無用。黙ってお聞きなさい」

格子越しとはいえ、結構な近距離からソルトさんに睨まれて、ビビりながらも開きかけた口をつぐむ。

「今からこの“籠"で貴方を会場へ運ぶ。儀礼までは一言も口をきくな」

かご、ってのは時代劇なんかに出てくる『へい、アサクサまででやんすね!合点!』なアレのことだろうか。
四方八方を塞がれたこの箱は、むしろ犯人護送にでも使うのが似合いそうだが。


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あきゅろす。
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