第二の人生 14 そして、種の分からない方法で霧散し姿を消してしまったソルトさん。 あの長官には似合わないが、『お疲れ〜』みたいなやり取りをどこかで期待していたおれは、勉強会のアッサリ終了っぷりに、ぽかんと突っ立つ事しか出来なかった。 現金に、スタスタと家具の後ろから出てきたゼノへ困惑を目で訴えるが、ゼノはおれを完全スルーして扉の前に立つ。 徐々に聞こえた靴音、で、頭上に豆電球が灯火。 やがて硬い足音が大きくなって、部屋の前で止まった。 やんわり開いた扉から覗いた二つの目に、ようやく全身の緊張が取れた。 「俊也」 入室するなり、魔王さまのデカい手が頭に乗せられる。 労うような手の動きに目が細まる。 「首尾はどうだ」 「……落第回避、ぐらいかなあ……」 上々です! と言い切れないまでも事実を告げると「さすがだ」なんて、変なお世辞を返された。 「そっちは、何してた?」 「全体に関わる指揮…、参列者へ通達」 「そ、そーか……」 参列者、とは穏やかじゃねえな…。 ずらりと並ぶ魔族の面々といえば、おれの“お披露目"ん時に見た百鬼夜行の有り様しか想像出来ない。 この想像も、十中八九は外れないだろう。 内心おののいていると、男は真面目くさった目で見つめてきた。 <<>> [戻る] |