小話 ☆兄と弟、そして兄の恋人。 「……遊戯と、付き合ってる。」 兄サマから、話があるから時間を空けておけと言われたのが数日前。 そして今日。 兄サマの仕事部屋に入ると、何故か遊戯がいた。 「遊戯!久しぶりー!元気だったか?」 「……お、お邪魔してるね、モクバくん。」 ? 遊戯、ソワソワしてる? ……兄サマの話と、なんか関係あるのか? 「そうだ兄サマ、話って何?遊戯がいるってことは、遊戯にも関係ある話なのか?」 「……ああ。」 「海馬くん……その、ホントに言うの?」 「言わない訳にはいかないだろう。」 「それはそうなんだけど……」 何だなんだ? 兄サマと遊戯の間に何かあったのか? てか、なんで遊戯の顔赤くなってんだ? 「モクバ。」 「……何?」 「オレは……」 「……兄サマは?」 で。 大分間を置いて兄サマの口から出た言葉が、最初のアレだったわけだ…… 「…………え?」 付き合ってるって、遊戯と? 友達として……じゃ、ないよな。 だったらわざわざ改まって話をする必要ないし。 ってことは…… まさか……!? 「…………コイビトとして……って、事か?」 「…………////」 遊戯、耳まで真っ赤になってる…… 図星、って事だよな……? 「……そっか。」 「モクバくん……?」 「遊戯!」 「はいっ!?」 「……兄サマのこと、よろしく頼むぜい!」 兄サマも遊戯も、オレにちゃんと話してくれた。 男同士ってことで、きっと、オレに話すのにもすげえ勇気と覚悟が必要だったと思う。 兄サマは遊戯を選んで、遊戯も兄サマを選んだ。 それならオレは、二人の選択を受け入れるだけだ。 ∞∞∞∞ 兄サマの傍に遊戯がいる、そんな光景が日常になりつつあるこの頃。 今日も、遊戯はウチに泊まってくことになってる。 「兄サマ、遊戯、いるかー?」 「しー……」 部屋のドアを開けると、兄サマは遊戯の膝を枕代わりにして床で眠ってた。 兄サマを起こさないよう、声を潜めて遊戯に話しかける。 「……兄サマ、寝てるのか。」 「うん。疲れてたみたいだし、少し寝させてあげよう?」 「わかったぜい。」 (……あ。) 眠ってても、二人の手はしっかり繋がってて、なんだか見てるこっちがくすぐったいような気分になる。 「なあ、オレも遊戯の膝借りていいか?」 「え?」 「兄サマがこれだけ熟睡できる遊戯の膝枕って、どんなカンジかなーって思ってさ。」 基本的に、兄サマは眠りが浅い。 仕事の関係で夜中に電話がかかってくることもあるから、当然かもしれないけど。 仮眠をとってても、人の気配がすれば直ぐ目を覚ますし。 でも、遊戯といるときだけは別。 普段なら、とっくに目を覚ましてるハズの今の状況。 兄サマは変わらず眠ったまま。 だから興味がわいたんだ。 遊戯の膝枕って、そんなに寝心地良いのかなってさ。 「……しょうがないなあ、海馬くんが起きるまでだよ?」 「へへっ、サンキュ!」 兄サマとは反対側の遊戯の膝に、そっと頭を乗せる。 「……モクバくんも、少し寝る?」 「いいのか?」 「いつも海馬くんと一緒に頑張ってるもん。だから、ね?」 (……そっか。) 遊戯は、兄サマとオレが『頑張ってる』ってことを知っててくれてるんだ。 軍需産業を展開していたという過去を考えれば、海馬コーポレーションに敵が多いのは変えることの出来ない現実。 そんな負の遺産をも兄サマは背負ってる。 過去のマイナスイメージを振り払うために、兄サマが必要以上に頑張ってることはオレも、そして遊戯も知っている。 だから遊戯は、こんな風にオレ達を甘やかしてくれるんだ。 「……ありがと。」 ……兄サマが熟睡できるの、解る気がする。 だって、遊戯の傍はこんなにもあったかい。 大好きな兄サマと、大好きな友達の遊戯がいて。 そんな二人に大事にされている、オレ。 それはきっと、ものすごく幸せなことなんだ。 そんな幸せな気分になりながら、兄サマと一緒に遊戯の膝枕で眠った。 そんなオレ達をメイドがこっそり写真に収めていて、使用人の間で焼き増しされて流れていたというのは後で知った事実。 END あとがき。 4444ターンを獲得された槭様からのリクエスト、 “海表+モクバのほのぼの” でした。 モクバ視点の海表なので、二人のセリフが少ない…… しかも社長、後半は眠りっぱなしなので影が薄いよ…… このような文章でよろしければ、槭様のみお持ち帰り可です。 リクエストありがとうございました。 これからも当サイトをよろしくお願いします。 [*前へ][次へ#] [戻る] |