小話 真夜中の秘密。※やや注意※ ※匂わす程度ですが、若干の性描写が含まれます。 受け付けない方は先に進まないほうがよろしいでしょう…… あったかい…… なんだろ、このカンジ。 あれ、ボクの隣に誰かいる。 ボクのベッドそんな広かったっけ…… …… ああああぁっ!? (そうだよ、ここボクの部屋じゃないよ!?) 目を開けると、ボクを抱き締めたまま眠ってる海馬くんの顔。 ……ボクも海馬くんも、服着ないままで寝ちゃったんだ。 そう、確か今日は海馬くんの家にお泊まりだったんだ。 で、そろそろ寝ようって一緒にベッド入って…… そしたら、海馬くんがボクの上に乗りかかってきて…… そのまま海馬くんと、エッチなこと、しちゃったんだ…… カラダ中、いろんなところにキスされて、撫でられて、イタズラされて…… (〜〜////ι) 海馬くんは、ボクが起きてることに気付いていないみたい。 した後は大抵、朝まで目が覚めないからちょっぴり得した気分。 こうやって、海馬くんの寝顔を見ていられるから。 (寝てても綺麗な顔だなあ……) 海馬くんって、眠ってても顔整ってるんだよね。 鋭い眼光を湛えた瞳も今は伏せられていて、大人びた雰囲気は薄れてる。 年相応、って言うのかな? 海馬くんのこんな顔を見てると、ボクと同じ年なんだって安心する。 海馬コーポレーションの社長ってことで、実年齢よりも大人であることを求められるのは仕方ないのかもしれない。 仕事してる時の海馬くんを見てると、遠い人だなあって思うことがある。 ……少し寂しい、とも思う。 ボクには海馬くんの力になれるほどの頭脳も技術もないから、海馬くんが困っていても何もできない。 (ワガママだな、ボク。) 何もできないのに、それでも傍にいたいなんて。 こうやって、海馬くんの寝顔を一番近くで見られるところにいたいなんて。 (だって、好きなんだ。) どうしようもないくらい、この人が好きなんだ。 忙しい合間を縫って、メールや電話をくれる。 きっと疲れてるって、ゆっくり休んでほしいって思うのに、家に泊まりに来いと言われれば素直に家に行ってしまう。 ボクのために時間を割いてくれるのが嬉しい、だなんて。 (ごめんね、ボク、汚いよね……) 君を独占できることが嬉しい、なんて。 起こさないように気をつけながら、眠ってる海馬くんの唇に口付けた。 「君を独り占めしたいなんて、ワガママでごめんね。」 起きてる海馬くんには、絶対に言えないから。 「それでもボクは、海馬くんの傍にいたいんだ。……大好きだよ、海馬くん。」 海馬くんの胸に顔を埋めて、ぴったりと抱きついて。 腕の中の心地よさに浸っていると、次第に瞼が重くなってきた。 せめて今、この時間だけでもボクだけの君でいてほしい。 そんなことを願いながら、ボクは眠りについた。 ∞∞∞∞ (まったく、そんなことワガママですらないぞ。) 腕の中の遊戯が動いたことで、オレの意識は僅かに覚醒した。 目を開けるのも億劫で、もう一度眠ろうとした時にもたらされたのは、遊戯からの口付け。 そして、遊戯の―おそらくオレには秘密にしておきたかっただろう―本音。 独り占めしたい、そんなことならオレだって思っている。 おそらく、いや確実に遊戯以上にその思いは強い。 何せ、あのお友達連中と一緒にいるのすら許せないと思ってしまうことが多々あるのだから。 (自覚がないのか、お前は。) オレ以外の誰かの元に行くようなら、オレの手で壊してでも留め置く。 この狂気染みた独占欲を抱かせているのが、お前なのだと。 (謝らなければならんのはオレの方だ。) 誰の目にも触れないように閉じこめて、オレの声だけ、オレの姿だけ、オレの熱だけを感じていればいい。 余りにも醜悪な欲望を、お前に抱いていることを。 (すまん、それでもオレはお前を傍に置いておきたい。) もう手放せない。 コイツの暖かさが、余りにも心地良過ぎて。 オレの弱い部分も全て受けとめ、それでもオレに笑顔を向けてくるから。 (日常に戻れば、お前の傍には常に誰かがいる。) 家族やお友達連中、そしてもう一人の〈遊戯〉。 だがオレは、ヤツらの知らないコイツの顔を知っている。 オレの熱に翻弄されて、羞恥に震えながらも応えてくれる時の、恐ろしく艶めいた表情。 オレ以外の誰も知らない顔。 他の人間になど、見せてたまるか。 (あんなお前を見ることができるのは、オレだけでいい。) オレにぴったりと寄り添って眠る遊戯を、更に引き寄せる。 誰にも渡さない。 少なくとも、オレの腕の中で眠っているこの瞬間。 コイツはオレだけのモノだ。 そんな浅ましいことを思いながら、オレはもう一度眠りについた。 END あとがき。 事後の海表でした。 相手を独り占めしたいと思っているのはお互い様、ということなのですよ。 ……前ジャンルでも、似たようなシチュで話書いたよね私。 進歩してねえな、自分ι [*前へ][次へ#] [戻る] |