2.
「…―――?」
「――?」
「―――、…―」
「――…」
会話が途切れた。
もう終わったのかもしれない。
出てくる人に備えて、壁によりかかっていた体を離した。
―――ポロン…
「…?」
教室の中からピアノの音が聞こえてくる。
この音の紡ぎ方だと…先生ではなさそうだ。
じゃあ、もう一人の人だろうか。
――ポロン、ポロン……
ゆっくりと紡がれる音は、次第に速さを増し、大きくうねり、――…途端にゆっくりとなって、消えていくように弱々しく、しかし強く……頭の中をすんなりと通り抜けていく。
「……ぇ?」
聞いた事のある旋律だ。
というより、頭がはっきりと覚えている。
「……、まさ、か…」
音は次第に大きくなって、流れるような心地よい旋律が紡がれるようになった。
波が、寄せては引くように。
それは、もう何度も聞いて頭が記憶している。
この旋律を紡いでいるのは――、あいつだ。
「なんで……」
なんで、あいつがここに。
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