11.
でも俺の家はそんなお坊ちゃま校に向かないただの一般民家。

全財産どころか家全部売り払っても、こんなところへ入れる金はない。


そこで俺はどうしたかというと。




…まぁ、簡単にいえばピアノの腕を磨いたってところだ。

ピアノなら幼少の頃からずっと習っていたし、まぁいわゆる才能というやつもあったから。



ある程度勉強もしたけど、『特待生』として学園に入り、奨学金で全てをまかなう為にはそれしか方法がなかった。



両親は俺が小学生のときに離婚してしまった。

しかも俺と奏多を押し付けあって、最終的には子供だけをあの一つの家に捨てて二人とも出て行ってしまったのだ。

今は、母方の祖父母と一緒に暮らしている。……母親は、俺達を捨てた日に違う男とどこかに行ってしまったらしい。




予定通り特待生としてこの学園の高等部に入った俺は、今のところ学園二位の座を誰かに明け渡したことはない。



…そして、一位のあいつを二位の座に引きずり落としたことも。



とりあえず学園五位以内に入っておけば特待生として優遇されるんだ。

五位から下がると、…行くところはなくなるけれど。




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あきゅろす。
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