4.
「何笑ってんだよ…」
「何でもねぇよ。それより、今日一緒に寝るか?」
「え…っ」
途端にぱっと明るくなる奏多の顔。ホント、分かりやすいな。
「い…良いの?」
「良いよ。……寝ない?」
「ねっ、寝る!!…でも兄貴、練習は…?」
「良いよ、今日は。次のレッスンまで少し日があるし。その間にマスターしとけば大丈夫だろ」
ほら、来いよ、と言って、奏多をベッドに誘う。
俺が先に入って布団を開けてやると、大人しく入ってきた。
ふんわりと香るシャンプーの匂いに、懐かしさを感じる。
そういえば、最後に一緒に寝たのはまだ俺が中学生の頃だっけ…。
「兄貴…」
「ん?何?」
「襲っちゃっても良い…?」
「………ダメ」
……さっきの言葉は、聞かなかったことにしよう。
うん、だってあんなに可愛い奏多があんな事言うはずないもんな!!そーだそーだ!!
「……ちっ」
………。
奏多じゃない生命体が隣にいる…!!
でも今日は色んなことがあったし、奏多と一緒に寝るのも久しぶりだから、頭が疲れているのかもしれない。
うん、きっとそーだ。
だから聞こえないものが聞こえるんだ。
俺は無理矢理思考回路を中断させて、目を閉じた。
体は予想以上に疲れていたのか、意識はすぐに夢の世界へと連れていかれる……。
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