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カクテルが繋ぐ恋(静正)
※フォロワーさんの妄想よりバーテン静雄×大学生正臣







池袋のとあるバー。
今日もそこには恋の予感が落ちている。




「うえええぇぇえええ今日もフラれた…」
バーカウンターに涙を流しながら突っ伏す正臣は生きる希望を失ったかというようにどんよりと暗い。
合コンで何の手ごたえもなく、連絡先も交換できなかっただけですごい落ち込みようだと正臣の話し相手をしていた静雄はグラスを拭きながら肩を竦めた。
そして恒例だという様に彼の為にカクテルを作り始める。

この光景は最近のこのバーではお馴染みの光景となっていた。
きっかけは大学生になった正臣が女の子にモテるだろうという邪な理由だけでカクテルの勉強をしようとこのバーを訪れたのが始まり。
適当にカクテルを頼み、バーテンダーに意味や雑学を聞いたりと絡んでいるうちにそのバーテンダー、平和島静雄と仲良くなり、時折本来の目的を忘れて足を運ぶようになった。
そして合コンなどで惨敗したときはヤケ酒だと言わんばかりにこのバーに飲みに来て静雄に話を聞いてもらう。
それが彼らの日常となりつつある光景だった。
しかしあまりにもその回数が多い正臣にとある日静雄がおごりだと言って一杯カクテルを奢ってくれたことがこの光景にスパイスを与えた。
出されたカクテルに正臣はいつものように、寧ろいつもの癖だという様にその意味を聞いた。
『チチ』と呼ばれる白く甘い口当たりのカクテルは『陽気に行こう』というカクテル言葉を持ち、それが不器用ながらも静雄の励ましだと気付く正臣は更に静雄に懐く結果となった。
時に店で酔いつぶれ解放してもらったり、休みの日などに出かけたり、自宅でカクテルの作り方を教わったり…正臣の中で平和島静雄という存在は日に日に大きくなっていく。

そしてその意味に気付く正臣は今宵、いつものフリをしてこの店を訪れた。

いつものように泣き叫ぶ正臣の視界の端に置かれるチチを横目に正臣は身体を起こしてまっすぐと静雄を見た。
「静雄さん、今日は別のが飲みたいです」
「? なんだ?」
「シェリー」
「っ…正臣、それどういう意味か分かって言ってるのか?」
その注文に動揺した静雄は苦い顔をして確認するように問いかけると正臣は勿論という様に静雄に微笑んで見せた。



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あきゅろす。
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