ろちまさ:旅行(してない) 『あ、今度の土日空けておけよ』 脈略もなく千景から届いた一通のメール。 唐突なその内容に文面を見た正臣はまたかと無意識に笑みを溢した。 たまに届く突然の遊びの誘いはこれが初めてではなく、必ず規則的なものがある。 一つ、暫く千景と遊んでいない。 一つ、暫く千景が多忙である。 一つ、その期間半月以上。 それらを全てクリアするとこうして唐突なメールが届く。 それはまるで正臣に一定期間会えないと我慢出来ないと言うかのようで。 それはまるで正臣に会えないことで禁断症状が出ているようで。 それはまるで会えなかった分正臣を独り占めするようで。 その遊びの誘いはたいてい一泊二日の旅行として昇華される。 しかし千景自身はそうした関連性に全く気付いてはいなく正臣の予想でしかない。 だが、それを証明するかのように旅行の間はずっと正臣と一緒に行動しており、夜もいつもより熱い。 今回は何処へ旅行へ行くのかと準備をしながら 『手羽先が食べたい』 と、返事を送った。 |