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正臣くんがネコになりました2



〜前回までのあらすじ〜
臨也さんの突然の呼び出しに嫌々応じた俺はそこで差し出された珈琲を不審がりながらも飲み干すと意識を失い、目が覚めたら身体が猫になっていた!
臨也さんの奸計であることは揺るぐはずもなく、貞操すら危うくなった俺は一先ず逃げだすことにした。
しかし猫の身。重たい玄関のドアに阻まれあわや九死。そんなとき突然の来訪者により開け放たれたドアに天の恵みと外へと出ることが叶い、無事魔の手から逃れるのだった。



         ♂♀



そんな俺は今、大都会東京、その一区新宿で迷子になっていた。
臨也さんの事務所は新宿。今の場所も新宿。
あれからどのくらいの時間が経ったのか、逃げ出した時の白む空はもう快晴の真っ青な空へと変わり、街行く人の数も増えつつあった。
それなのに俺はまだ新宿から抜け出せていない。猫の足ということもあるが、猫の視界は人間のそれとは違いすぎ自分のいる場所が正しく把握できないのがある。
視力もさながら視野の広さ、高さ、その他もろもろ。そんなこんなで俺はまだ新宿をさ迷っていた。


しかしこのまま逃げたとしてどうするか。どうしたら元へ戻れるのか。
一先ず人気を避けて閑散とした公園らしき場所のベンチに乗って一休憩いれた俺はその疑問にぶち当たった。
時間で解決するならただ逃げ回るだけで済むが臨也さんが言っていた様に『愛する人の口付け』など他人の手を借りるとなるとただ逃げているわけにもいかない。
何をすれば俺は元に戻れるのか、それを突き止める必要がある。しかし原因である臨也さんも『どうすれば戻るかとかは知らないけど』とはっきり言っていた以上手掛かりはないといっていい。
そもそも人間がどうしたら猫になるんだよ、と突っ込みまで入れたくなる。
八方手詰まり。前例はなく、他者との意志疎通も難しい。
あ、これ完全に詰んでね?





少ない情報で考えても答えなど見つかるはずもない。
とりあえず移動でもしようか。臨也さんにだけは捕まりたくない俺はひょいと身軽にベンチから飛び降り当てもなく歩き始めたそんな時。
何の前触れもなく、ただ何のなく。本当に何となくだ。もしかしたら猫になった為人間よりも強化された耳なり鼻なりが何かを感じたのかもしれない。
しかし俺の意識としては何となく。
何となく俺は振り向いた。
そこにはーー。









あきゅろす。
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