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青正幸せ家族計画
「きーだ先輩♪」

己に掛かる声に、その声の主を確かめもせず正臣はうわぁと嫌な顔を見せた。
しかし声の主はそんな正臣の表情にもめげることなく当たり前の様に隣に落ち着くと鞄から一冊の本を取り出す。
華やかに着飾る女性が表紙の雑誌。ブライダル情報誌を片手に青葉は意気揚々と口を開いた。

「紀田先輩は和式と洋式どっちがいいですか?俺としては洋式かなって。でも白無垢も捨てがたいっちゃ捨てがたいんですけど」

悩ましげな表情をしながら、

「日時は早くても俺が卒業してからですよね。あ、紀田先輩は何色がいいですか?」

正臣に合う色を想像しながら、

「あとはどんな演出にするか……、あ、お金の心配ならいらないですから!」

自信満々に、

「引き出物は俺達の愛を見せつけましょうね!」

ほぼ一方的に紡がれるマシンガンのような質問。答える前に積まれていく質問に正臣は白い目を向ける。
そしてそれに正臣は半ば予想出来るが敢えて何の意味があるのか問う。

「つか何の話だよ」
「え、俺と先輩の結婚式の予定ですけど?」
「まず男同士で結婚は出来ない」

海外へ行けば話は別だが現在の日本では無理なこと。
そんな当たり前なことを正臣から聞かされた青葉。
勿論そんなことなど言われなくても分かっているが正臣が気にするというならばと青葉は一度黙り真剣な表情で考え込んだ。
そして数拍の後、名案だと真剣な声音のまま呟く。

「……つまり、俺が法律を変えればいい?」
「うん、お前、絶対頭の使い所間違ってる」

どんな障害が立ちはだかろうと青葉が気持ちを改めることなどないようだ。




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