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パパママ青正

広くて大きいとは言えないが20代の男性の収入から考えれば十分過ぎるほどの一軒家。
そのキッチンで正臣は鼻歌交じりに朝食を作っていた。
フライパンを弱火で温め、そこに昨晩から卵や牛乳などで作ったたシロップにつけておいたパンを置く。
焦げないように注意しつつ、焼き上がるまでそれに付け合わせる果物をカットしてしまおうと冷蔵庫を覗く。
冷蔵庫にある果物でどう付け合わせるか悩んでいるとふいに正臣の腰に違和感を感じる。
つんつんと服を引っ張るか弱い力。
振り向かずともそれが誰のものか分かった正臣は満面の笑みを浮かべると振り向き様にその子を抱き締めた。

「ジュリアおはよー♪今日も早起きだな」
「おはよぉ」

正臣の息子。今年3歳になるジュリアは大好きな正臣に抱き締められふにゃふにゃと笑いながら朝の挨拶を返した。
いつも一緒に寝ているためかこうして朝御飯を作るために早起きする正臣につられて起きてくるのだ。2つ上のリンダも一緒に寝ているのだがこちらは父親に似たのか寝坊助だ。
今日も早起きのジュリアを誉めつつ頬擦りをしたりと激しいスキンシップをしていた正臣だがここで肝心なことを忘れていた。

「まま、ふらいぱん」

正臣に抱き締められるその向こう側。漂ってくる甘い薫りに些かの苦味が加わっていることに気付いたジュリアは指さし正臣を伝える。
そこでやっと朝食であるフレンチトーストの存在を思い出した正臣は「あっ!」と大きな声を上げて慌ててジュリアを離し、フライパンの火を切るがその上にのるパンは本来の色より黒が多めだ。食べれないことはないが子どもたちには絶対に食べさせれない。
仕方がないのでこれはパパの朝御飯にしようと気持ちを切り替えた正臣は今度は失敗しないようにと気を引き締め2皿目のフレンチトーストを焼き始めるのだった。

そうして数十分。
ジュリアにも手伝ってもらい、朝食がダイニングテーブルに並ぶ。
コップを並べ、ジュースを取り出そうと冷蔵庫へ歩く正臣はお行儀良く椅子に座り『いただぎす』を待っているジュリアを見た。

「ジュリア、パパを起こしてきて」
「あい!」

時計を見れば9時半とうに過ぎている。休みなのだから自由に寝かせてあげたいが今日は子どもたちとお出掛けだ。
目覚まし時計も先程から鳴っては切れてを繰り返しており、起きてくるのを待つには時間が掛かりそうだ。また父親と一緒に寝ているロマ葉が勝手に目覚ましを切っているんだろう。あの子が一番寝ぼけだから。
いつもの朝の光景にため息と幸せそうな笑みを浮かべながら元気良く起こす任務を与えられ寝室へ走っていく我が子を見つめる。

もうしばらくしたらダイブして起こすジュリアに起こされたパパの悲鳴が聞こえてくるだろう。

変わらぬ休日の朝に正臣は笑みを浮かべたまま愛する人たちの起床を待った。





          ♂♀




「っていう感じの幸せ未来計画練ってるんですけど紀田先輩は何かリクエストありますか?」
「馬鹿だ馬鹿だと思ってたけど馬鹿だろお前」

そもそも付き合ってもないだろ、と正臣の言葉を無視して青葉はただひたすらに夢を語るのだった。


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