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みかまさ小話



日付も変わり数刻が過ぎた頃。
都会とはいえその時分にもなれば街も寝静まり、部屋の主とその友人である少年たちの寝息以外何も聞こえぬ静寂が部屋を包んでいた。

特に何かきっかけがあったわけではない。
丁度眠りの浅い所にふいに浮上した意識。
帝人はゆっくりと瞼を上げると顔だけ窓辺へ向けた。
カーテンの隙間から見える外は日も昇らぬ前でぼんやりと道路の街灯の光がまだ夜だと主張している。
まだ寝れる。そう判断すると帝人は再び寝入ろうと布団を被り直そうとして動きを止めた。
寝る前まで隣の布団にいたはずの正臣が居ない。
そして自分の隣には隣の布団に寝ていた筈の正臣がすやすやと気持ち良さそうな寝息を立てて眠っている。
いつの間にか正臣が帝人の布団へと潜り込んでいたようだ。
しかし一人用の布団に二人は流石に狭く、よく見れば正臣は少し布団からはみ出ているではないか。自業自得とはいえ正臣が風邪を引くことをそのまま見過ごせるはずもなく、帝人は小さくため息をつくと自分の使っていた布団を正臣にかけ直し、自分は正臣が寝ていた方で寝直すかと正臣を起こさぬよう布団から出ようとして再び帝人は動きを止める。
つんっと何かに服が引っ掛かった感覚。
そっと布団を捲り確めてみると帝人の服の裾を正臣が掴んでいた。まるで寝ているうちに何処にも行かぬようにと言うかのように。
それを見た帝人は肩を竦めると正臣を起こさぬよう気を配りつつ最小限の動きで正臣の使っていた方の布団を引き寄せ、自らその布団に潜った。
勿論正臣が離してくれないのでそれぞれの布団を使うというよりは二枚で一枚として使うように寄り添う。
そして服を掴んでいた手を優しく引き剥がしその手を包み込むように握り直すと目の前にある正臣の寝顔へーー……。

「おやすみ、正臣」






自分が寝ている間に何をされたのか、気付かぬまま正臣はすやすやと眠り続ける。
朝、起きた時、予想以上に近い帝人の寝顔に驚くまであと何時間か。




【ベッドに潜り込む/手を繋ぐ】




あきゅろす。
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