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腐男子正臣くん


それは、天気のいい昼下がりの日曜日のことだった。

今は参加予定のイベントもなく、すると追われる締め切りも当然なく、正臣はまったりとした休日を過ごしていた。
見たい番組もなくただテレビを流し、スマホでツイッティアを流し見ては流れる情報を読んでいく。
そんなのんびりとした休日を過ごしていた正臣の耳に突如訪問者を告げるベルの音が飛び込んできた。
特に誰かの訪問予定もなく正臣は新聞か何かの勧誘だろうとのんびりと身体を起こし、玄関に向かっていると再び鳴り響くベルに内心煩いなと悪態をつく。
ドアに付いた覗き穴から訪問者を伺えば正臣は小さく驚きの声を上げながら慌ててドアを開けた。



「なぁなんだ、これ」

突然訪ねてきた千景を部屋に上げ、暫く。
千景は持ってきた紙袋から一冊の薄い本を取り出して正臣の目の前に突きつけた。
それは男二人が並ぶ表紙で一目で同人誌と分かったが、正臣には千景が聞いている意味が分からない。
首を傾げつつその本を観察してみると描かれている二人はどうも見覚えがある。
絵柄に、というよりはモデルにした人物だろう。
正臣はその同人誌を手に取り裏面にCPなど書いていないかと探して見ればビンゴ。書かれていたCP名を読み上げ正臣は千景を見た。

「? えーっと……しずろち?え、しずろち!?俺これ知らない!これどうしたんですか!」
「とらのあなにあった」
「なんで千景さんがとらのあなに行ったのかとこれをどう購入したのか凄く聞きたいんですけど、とりあえずこれ読んでもいい?」
「……ぶれねぇな、お前」

いいぞ、と千景が了承を出せば正臣は意気揚々とまだみぬしずろち本へと浸っていった。





あきゅろす。
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