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おにぎり正臣くん


学校からの帰り道。
程よく寄り道してからの帰路は既に空は暗く、腹の虫もなり始める頃合い。
帝人と正臣は肩を並べ何時ものように帰路を歩いたいたが一つのコンビニの前で正臣が足を止めた。

「あ、悪ぃ。コンビニよっていいか?夕飯買ってくる」
「夜もコンビニ弁当?栄養偏るよ」
「と、いいつつ帝人の向かう先はどこだ?」

了解と言うようにコンビニへ入る二人。同じ方向へ向かう帝人に正臣に意地の悪い笑みを浮かべ、帝人もまた確かに人のことは言えないと肩をすくめて笑った。
二人で仲良くコンビニ弁当の世話になるべく陳列棚へ歩き、二人で何がいいかと物色する。
そんななか、正臣の視線が一ヶ所で止まる。
幾つもの種類を取り揃えた三角のおにぎり。
その種類も梅や昆布、しぐれやおかかなどスタンダードな具ばかりで一見変わったようなものではない。
しかし正臣にだけ、それのもつ意味合いが違った。

思い出される差し出される手。
そこに乗せられたほくほくとした白いおにぎり。
その白さは米の白さだけではない。
米に掛かる白濁とした液体とそれをもつ男の笑み。
『これをちゃんと食べられたらご褒美をあげる』
緩慢な動きでおにぎりを受けとる正臣の頭を優しく撫でる手とその言葉。
事実完食したあと言葉通りご褒美として再び激しく抱かれたことまで思い出し、

正臣のとある箇所が反応を始めた。

そんな折り、声が掛けられる。

「正臣、どうしたの?」

帝人の呼び掛けにはっと我に返った正臣は何でもないと慌てて笑顔を作った。
目の前にあったお握りを適当に幾つか持ってレジへ向かう。
そんな道中も先程思い出したことが離れない。

臨也の微笑み。
臨也の温もり。
臨也の手の冷たさ。
優しく撫でる手つきや、貪るような口付け。
かなり前のことなのに、正臣にはまだ折原臨也の影が色濃く残されていた。







あきゅろす。
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