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SHいざまさ


見開かれる目。
音無き言葉を紡ぐ口。
駆け出そうとして、躊躇う足。

目の前に姿を現した青年に正臣は動揺を隠せなかった。

死んだと言う報は聞いてはいなかったが、彼が誰にも悟られず大人しくしているなど無理なこと。
池袋でも新宿でも、都内でも、果ては地方でも、その影は一向と掴めなかった男が正臣の前にいた。
あの時の後遺症なのか見慣れない車椅子に腰を掛け、いつもと変わらないファッションで、憎たらしい笑みを浮かべている正臣の探していた男。

「ただいま。生きてることに、いきなり現れたことに驚いた?」

彼は正臣の表情に満足げな笑みを浮かべて両手を広げた。
その手はまるでおいでと言っているようで、唐突な再会を喜ぶようで。
正臣は躊躇っていた足を向けると極力驚いた表情を隠して肩を竦めて呆れたように笑った。

「知ってましたよ。ほら俺、エスパーだからさ。つかこの前の電話、アンタだろ?あの無言電話」

知らなかった。掴めなかった。気付かなかった。
でもそれを素直に認めるのは悔しくて、相手を喜ばせる気がして絶対口に出していうものかと、言葉で隠す。
どうせどんなことをしても彼を喜ばせると知っていても、バレているだろうと知っていても。
それでも素直にだけはなってやらない。
それが俺たちの関係だというかのように、

「何で生きてるんですか、臨也さん」

正臣はにっこりと笑った。





      ♂♀



「っていう感じの再会が望ましいんだけどどうしたらいいと思う、 坐さん?」
「そうですな。これだけは言えますぞ。貴方のような変態に好かれたその少年はさぞ可哀想な方と」
「酷いなぁ。ちゃんと相思相愛だから大丈夫だよ」


全ては臨也の妄想。

本当の再会で、明かされるものとはさて、どうなるか。





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