アイドル六条とアマチュア正臣2 隔週土曜日、午後6時は俺の大舞台! 歌うことが好きでいつかは俺の歌で聞く人皆元気に出来たらな、なんて言うのが小さな頃の夢。 その夢がもう無くなったっていうわけじゃないけど今は歌っていれば嫌なこと全部忘れてしまえるから。 歌ってはしゃいでバカやって。気の合う仲間と楽しく過ごせればそれに越したことはない。 でも、駅前の場所を借りて歌っているのはまだソレを諦めきれてないからなんだろうな。 と、歌い終わったあとの声援や毎回見に来てくれる人の姿に気付いて苦笑をこぼす。 さて、俺は何処までいけるかな? なんて考えながら今日も歌っているとまた一人足を止めてくれた青年が。 俺の歌で足を止めてくれたのならいいなと少し観察していると合う視線にどきりとする。 まるで長年探していた恋人にやっと会えたと言うように嬉しそうな表情を浮かべていたからだ。 俺の周りの人だかりに誰か知り合いでも見つけたのだろうか。 ってことは俺の歌目当てではないなと残念と肩を落とすも笑みを浮かべ俺はそのまま歌うことに集中した。 そして歌い終わり、挨拶も済ませ撤収作業に入っていると先程の青年に声をかけられた。 「なぁ、俺は六条っていうんだけど名前聞いてもいいか?」 どうやらその恋人(探し人)は俺のようだった。 |