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ジュリリン3



抗うことの出来ない行動制限が掛かる不愉快な感覚。
ジュリアの破壊は免れたものの、どこかよくわからない場所へと飛ばされたリンダはぐるりと辺りを見渡した。
目に飛び込む情報は実に雑多で奇怪だ。
緑色の空に桃色の雲。太陽は青く、地面は紫。
重力を無視して漂うのはビックリ箱にトランプにチェスボード、オモチャ箱をひっくり返したかのように一般的にオモチャと呼ばれるものやシルクハット、シャツにズボン、旗などの衣類。規則性もなくただ漂っている。
球体、立方体、奇抜な形のオブジェが地面から空から空中から生え、森が、家が、海が、街が、鉱山が、視線を巡らすだけでリンダの周りには何でもあった。どこの場所にでもなった。
ここはどこだろうか。
知らない場所、見知らぬ空気。雰囲気はサイケの部屋に似ているがあそこはもう少し統一性がありメルヒェンだ。
そして、ここは部屋というより閉じられた空間だ。ここ以外の気配も感じず、通信も出来ず、リンダは閉じ込められたのだろうと冷静に結論を出した。
しかしまだ分からないことばかりだ。
だから、とリンダは誰も見当たらないこの空間に問う。

「で、あんたたちは何を成そうとしてんだ?」

すると漂う衣類の一部が集まり、翻るマント。ばさりと音を立てリンダの視界が一瞬マントに被われる
と次の瞬間には一人の男が立っていた。
シルクハットにスーツ。片目を包帯で隠した優男。
人の良さそうな柔らかな笑みを浮かべているはずなのに温度を感じさせない冷たい笑顔。

「随分と落ち着いているんだな、お姫様」

『あヽ無情』。通称、無条はいつから見ていたのか、リンダの様子に肩をすくめた。
彼はここに引きずり込まれる前にリンダが見た光景を知っている。
家族に友人たちを壊されたのだ。
怒り、悲しみ、猜疑……何らかの感情を持っても可笑しくはないだろう。
そんな無条の疑問に答えるかのように自信ありげに笑うリンダ。

「良いこと教えてやるよ、お子ちゃまども。俺の友人はな、あれしきのことでへこたれる柔なやつじゃねぇんだ」


そして挑発するようにくいっと手招く。


「売られた喧嘩、例え弟だろうと倍で買ってやるよ」








あきゅろす。
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