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I look for you


その青年は真っ白でした。
何故其処に居るのか。
自分は何者なのか。
此れからどうするのか。
過去も現在も未来も真っ白な青年に当然始まりも終わりもありません。
しかし判(し)っていることが二つだけあります。
自分の名前が『千景』と言うことと『探し物』が在るということ。
青年は歩き出します。
始まりへと終わりに続く道を。
探し物の末の自分へと至る道を。


青年は何処にでも行きました。
大自然が織り成す神秘的な樹林。緑の一辺も伺えぬ砂漠地帯。
様々な条件が揃うことで見られる絶景。曰く付きの人々に見捨てられた土地。
人々の知識の大衆的な大都会。平和平凡な田舎。
戦争の絶えぬ王国。今は亡き王国……

青年は誰にでも会いました。
絶世の美女。一国の王妃。酒場の女主人。富豪の娘。農家の少女……

それでも青年の探し求めるものは見つかりませんでした。自分が何を求めているかも判(し)らずに探し続けます。
頭で理解せずとも心がそれを知っていると言わんばかりに。
そんな青年の前に一人の少年が現れました。

「おにーさん、旅人さん?道案内ならしますよ!」

その少年との出会いが青年の意味なき旅を価値在るものへと変えていきました。それこそ青年が辿りたかった道。探し物への手掛かり。



これは記憶を亡くしさ迷う青年と彼を導く少年の探し物へと至る物語。






あきゅろす。
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