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腐男子正臣くんと被害者シズろち

あ、しまった。
そう思った時には既に手遅れで、取り返しなんてものはつくはずがない。

あっ、と小さな声が漏れ聞こえ、声の方を振り向けば目を大きく見開いた正臣と目が合う。小さく開いてわなわなと震える口は何かを言いたげで、しかし上手く言葉に出来ないのかそれが音として出てくるのはまだ先のようだ。
どうこの状況を弁解したものかと相談するように視線を映した至近距離に見える静雄も今の千景と同じ思いなのか苦い顔をしたあと諦めたように長い長い息を吐き出した。
腹を括るしかないということか。
千景もまた何を言っても今の正臣には無駄だと察し、せめてこれ以上煽らない様にとゆっくりと静雄の上から移動した。
「――!」
そこでやっと正臣が声を上げる。
傷ついたように訴えるように表情を歪め、叫ぶような声。
静雄と向かい合う形で腰を下ろした千景は目を伏せがちに正臣を見る。
その瞳に宿る色は後悔一色。
静雄も気まずそうに正臣を見る。
その目はまるで死んだ魚の様に虚ろ。
二人の視線を受けて正臣はもう一度叫んだ。

「まだ写メ撮ってない!!」

あぁ、やっぱりこうなるか。
静雄と千景は複雑な気持ちに泣きたくなった。





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