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夢で夢見る(帝正)



拝啓 桜の花も満開に咲き誇り春が目に見えてきました。お父さんとお母さんはいかがお過ごしでしょうか?
僕は、一緒に寝ていた友人が小さくなって驚いているところです。


春になってきたとは言え朝はまだ冷え込み、その寒さに思わず目を覚ますと目の前にはすやすやと気持ちよく眠る正臣の姿に思わず笑みが零れた。
むにゃむにゃと口を動かしあほ面で無防備で眠る姿は可愛くて思わず悪戯したくなるほどで。
しかし妙な違和感を感じ眉を寄せた。
俯せで僕が使っていた筈の枕を抱きかかえる腕は短く、ぎゅうっと握られた手は小さい。近すぎるせいでちょっと分かりずらいが顔も幾分か小さい気がする。
違和感を確かめるべく身体を起こし、布団を捲り正臣の姿を確認してみるとその身体は布団の半分もなく、信じられない光景に思考が停止した。
数十秒後、寒いのか正臣が身を縮こまらせたことをきっかけに我に返るとその小さな身体をゆすぶり起こした。

「ちょ、正臣起きて正臣!」
「んー…なんだよ…」

ぐっすり寝ていたところを起こされた正臣はまだ眠いという様に目を擦りながら僕を見上げた。
服は寝る前と同一のもので、今の正臣には大きいらしく襟口から片方の肩が晒され胸まで見えている。
思わず理性が飛びかけるがちんまりとした容姿がなんとか最後の理性を縫いとめて、正臣に彼の身に起きていることを教えることが出来た。
見たままの事を伝えるが正臣は信じていないらしく、しかし妙に服が大きいことに気付き余る袖口から覗く小さな手に違和感を持ったのを皮切りに自分に起きたことを理解したらしく「なんじゃこりゃー!」と叫んでいた。
寒いギャグを言う余裕はあるらしく、それを「古い」と切り捨てて僕はどうしてこんなことになったのか考えるが昨日までの行動はいつもと変わらない平凡的なもので心当たりが全くなかった。

「俺のエロティカルボディが、女の子を優しく抱きしめるはずの」

だけど本人が思ったより気にしていないので僕も考えるのを放棄した。
暫く経って自然と戻らなかったらセルティさんや新羅さんに相談してみよう。
結論も決まればまだ早朝、休みだがそんな早く起きていてもやることがない。もう1〜2時間眠ろうと布団へと入ると正臣が今更驚いた顔で僕を見た。

「何寝ようとしてんだ」
「だって心当たりもないし正臣もあんまり気にしてなさそうだからその内戻るかなって」
「それが非現実的な目に合っている恋人に対する態度か!」
「まだ朝早いし、誰かに相談するにもこんな早朝からだと迷惑でしょ。」

寝なおそうとするのが不服らしい正臣だったが僕の言うことに反論出来ないのかぐぅと口を瞑り悔しそうに見つめている。
その姿がまるで小さな子供をいじめているような気分になり、いつものように無視したり流したりすることが出来ない。
確かに姿は5歳児ぐらいの子供だが、中身は普段の正臣のままなのに。姿の影響は偉大だと肩を竦めながら仕方がなく寝入ろうとしていた身体を起こした。
すると嬉しいそうに笑顔を作ると僕に抱きついてくる。
いつも通りを装っていたけれど正臣も不安だったのかもしれない。僕の座高ほどの小さな身体を抱きしめると頭を優しく撫でてあげた。


しかし起きたからと言って何か出来るわけでもなく、もう少し経ったらセルティさん辺りを頼ることを決めていつもより早い朝食をとることに決めた。
簡単にパンを焼きベーコンエッグを作る。
正臣も待っているだけなのは暇らしく出来る範囲で手伝ってくれる。
パンの焼けた皿を机に運んでくれたり飲み物を用意してくれたり。

「はい、これもよろしく」
「おう!」

出来上がった一個目のベーコンエッグの乗った皿を正臣に渡す。
いつもの癖で渡そうとしてしまったらしく振り向きざまに持った皿に身長が足らず手が届かないと手を伸ばし背伸びをする正臣の姿がそこにはあった。
精一杯手を伸ばし頑張っている正臣がつい可愛くて、もう少しで届きそうなところでひょいっと少し持ち上げた。
すると掴もうとしていた手は空を切り、バランスを崩してよろめいている。
いつもは正臣の方が高くてこんな姿など目に掛かることなど出来るはずもなく、珍しさと可愛さで頬が緩んでいるとそれに気付いた正臣が上目に睨んでくる。
身体が小さくなったのも含め、睨んでも可愛いだけで抱きしめたい衝動に駆られるが流石にそこまでしたらどんな文句が飛んでくるか分かっているため押さえつつ、今度は小さな正臣でも受け取れるように屈んで皿を渡した。
子ども扱いされるのが不服なのか少し唇を尖らせていたが、流石に自分でも小さな子を接する時の様に行動してもらわないといけないと分かっているのか文句は飛んでこない。
皿を持って机へと走っていく姿を愛らしく思いながら僕は二個目のベーコンエッグを作り始めた。




【夢で夢見る】





その後、早起きと朝食で体力を使ったのか正臣は10時を過ぎるころに睡魔に襲われ、そのまま寝かしつけるとパソコンの電源を入れた。
正臣が起きたらセルティさんに相談しようと思いながら、ネットに接続し暫くネットに浸って時間を潰す。
そして数時間後、いつの間にか座ったまま寝ていたらしくパソコンは待機モードとなり一時的に電源が落ちていた。正臣はどうなっただろうかと様子を見てみるといつの間にか元に戻っている。
あの非日常はなんだったんだろうか。
ふと、昨日公園で出会った幼児の事を思い出し―…まさかね、と自分の想像を否定する。
今までのが自分が見ていたモノが夢だったなどと思えられず、
しかし現実だと証明するものもなく、
狐につままれた感覚に陥りながら。

そうしてもう12時を過ぎようとしている時計に気付き、いつまでも寝ている正臣を起こすことにした。






‐‐‐‐
ひなたちゃんからのリク。姿だけ小さくなった正臣に悪戯する帝人。
悪戯が思いつかなかったなんて言えない^q^






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