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次への一歩(静正)




手に収まる黒く鈍く光るソレ。
L字のボディでその一端を握り閉めながら、人差し指はその中間にかかる引き金に。
その発射口は目の前に跪く紀田の額に密着して。
射線がずれないようにしているのか、紀田はソレを握る俺の手を包むように添えてる。

俺 は 紀 田 に 銃 口 を 向 け て い る 。


「静雄さん。静雄さんには俺を撃つ権利がある。」

夜、紀田にメールで呼び出されたかっと思うと出会い頭にソレを握らされ、

「いくら黄巾賊に紛れていたあいつらだっていっても俺の下で動いていた連中だ」

紀田はそのまま自分の額に銃口を宛がった。そして、

「いくら俺が命令してなかったことだって、あいつらが勝手にやったことだって言っても俺は連中を纏める立場にいたんだ」

懺悔のように心の内を吐き捨てる。

「なら、あいつらがしでかしたことの落とし前は俺が付けるべきなんだ。」

うつむいていた視線が上がる。俺と合うその視線は強い意志を秘めている。

「だからあんたにはその引き金を引き権利がある。あんたにされたことを、俺がされても何もいえねぇ。」

覚悟。ゆるぎない覚悟を秘めた瞳は一点の曇りもない。
それに俺はどう応えればいい?
簡単だ。

「わかった。言いたいことはそれだけか?」
「…はい」

とことんこいつに付き合ってやればいい。
目を閉じる紀田に向けて俺は引き金を引いた。





【次への一歩】







「つめたっ」

引き金を引くと同時に銃口から出たのはもちろん弾丸などではなく、そこの蛇口で汲んだ水。
ほぼ頭からかぶることになった紀田は顔を歪めて身を引いた。
ぷるぷると頭を振って水けを飛ばしている紀田はあらかじめ用意していたらしいタオルで顔を拭うと俺を見て困ったように笑った。

「ありがとうございます」
「満足か?」
「…自己満ですけどね」
「そりゃそうだ。俺は手前なんかに一ミリも恨みなんか抱いてねぇんだからな。本当は手前は命令してねぇし、俺は撃ったやつをぶん殴れたからそれでいい。けど、手前はそれじゃ気が済まないんだろ」
「…ホント、ただの自己満っすよね」
「それで満足できるならいいさ。これで負い目もなく俺と手前は対等だ」
「…?」

覚悟を秘めたまっすぐな瞳に魅せられた。
そういったら紀田、手前はどんな反応をするんだろうな。







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久しぶりにアニメの21話だったかを聞いたらなんか浮かんだ。
詳しいことは私にもわからない←




あきゅろす。
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