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最強コンビ(静正)

※pkmnパロ。




pkmn。
それは動物や人とはまた違った生き物。
仲間であり友達であり家族である生き物。

これはそんなpkmnを介して出会った少年と青年のお話ー…。




♂♀





とある工場の一角。

「らいちゅう、十万ボルド!そしてそのままアイアンテール!」

橙色のネズミに似た生き物が声に反応して電気を貯める。そして一拍も置かずに放電し目の前の空き缶を雷撃ではじき飛ばした。
空を舞う空き缶に走り寄るそれがジャンプすると長く伸びた尾で叩き落とす。
形を変えた空き缶が地面に転がるとらいちゅうは命令していた少年の元へ駆け出した。
少年も出迎えるように膝を折ると駆けてきたらいちゅうを抱きしめ頭をなでる。

「今日の特訓はこれでおしまいだ。今日もよかったぞ」

少年、黄巾賊というチームに属する正臣は今日もpkmn修行に励んでいた。
一連の特訓を終え、抱きしめていたらいちゅうをボールに戻す。
すると終わるタイミングを見計らっていたのか一人の少年が正臣に声をかけてきた。

「将軍!」

どこか緊張した様子の仲間に正臣は眉を潜めた。
彼の様子を見て何かあったことを察したのだ。
何が起きたのか視線で問うと彼は意を決したように口を開いた。

「その…静雄ってやつ…ご存知ですよね?」
「あの腕が立つっていう男だろ?奴がどうした」
「それが…その…仲間に将軍の居場所を聞いてきて、なんか話があるって言ってきてんですよ。…どうします?」
「話ぃ?俺に?」
「はい、『黄巾賊の紀田はお前らのチームのボスだろ』って理由を聞いても言わずに『話がしたい』の一点張りで…」

仲間の言葉を聞いて正臣は思案した。
静雄といえば近くの街の新しく来たというジムリーダだったはずだ。
そんな人間が接点もない自分に何の用だろうか。
思い当たる理由が見つからない。そもそも接点がないのにどうして名前を知っているのだろうかと考え、さすがに黄巾賊のことを知っているなら名前ぐらいは知っているだろうとその疑問は捨てた。しかし、結局検討はつかない。

「会ってみるしかねぇかな」

独りごちに呟くと知らせに来た少年がぎょっと青ざめる。
それを認め心配ないと宥めて正臣は静雄に会いに向かった。





「主役とーじょ、ほら、お前たちは散った散った」

黄巾賊の仲間に囲まれ、一触即発な雰囲気の静雄を見つけた正臣は場を和ますようにおどけたように声をかけ、殺気立っている仲間を手で払うように引くように促す。
納得がいかない様子の仲間たちに無言で再度引くように睨み付け、やっと彼らは渋々といった体で場を正臣に任せた。
それを確認した正臣は静雄に向き直ると笑みを浮かべた依然軽い様子で話しかけた。

「すみませんね、家のが。で、俺に用って何?」

笑みを浮かべているが警戒していないわけではない。
目的がわからないうちはすぐさま反応できるようにしている。

「手前がほしい」
「……………は?」

どんな答えが出てくるのか、言葉以外の反応も注意していた正臣だったが紡がれた言葉が予想以上のもので、呆気にとられたように目を丸くした。

「だから手前がほしいんだよ!」
「ストップ、俺にそっちの趣味はねぇよ」

なんの冗談だと思う正臣だが静雄の様子を見る限り本気で言っているようだ。
若干引きながら正臣はきっぱりと拒絶する。

「大体いきなり呼び出してなんだよ、告白するにも順序ってもんがあるだろ。いや、段階踏まれても男はお断りだけどさ」
「…何か勘違いしてねぇか、手前。」
「はい?」
「俺のジムに来いって言ってんだよ。手前ここいらじゃ強いほうなんだろ?ジムに何人かトレーナーが欲しいって思ってんだ。どうせならここいらの最強メンバーをそろえてみようと思ってさ」

返ってきた静雄の返答に再び正臣は目を丸くした。
静雄はジムに自分をスカウトしていることに気づいた正臣は間際らしい言い方だと思いながらも勘違いしたことにわずかに頬を染めながら静雄を見定めるように睨んだ。
彼のジムに行くということは自分の上に立つ人間ということだ。強さはもちろんどういう人間なのか。
全身を見ていた正臣だが、ふっと自嘲気味に笑った。

「どういう人間なんて見ただけじゃわかんねぇよな」

そもそも自分は黄巾賊がある。
他にどこかに属するつもりなどない。
だが、自分の強さが誰かに目に留まったことは喜ばしい。

「条件付きでなら考えてもいいぜ」
「なんだ?」
「一つは黄巾賊は辞めねぇ。有事があれば黄巾賊を優先してもかまわねぇこと。もう一つは俺とバトルしてアンタが勝ったら下についてやるよ。どうだ?」
「…分かった」
「うし、交渉成立。谷田部、審判頼む」

話が分かるやつじゃねぇか。バトルの中身次第じゃ俺が勝っても暇なときぐらい付き合ってもいいかもな。
正臣は出した条件を飲んだ静雄に好感を抱く。
互いが不利にならないように細かいルールを話し合い、結果3対3の交代ありのバトルとなった。
審判を務める谷田部が互いの準備が出来たことを確認し、試合開始の声を上げた。







【最強コンビ】







そして数十分にも渡るバトルが終え、正臣の最後のpkmnが倒れた。

「えれぶー!」

倒れたpkmnを見て正臣は寸の差でしかし絶大な力差で負けたことを実感した。
だがバトルは楽しいもので、試合終了の声が上がり近づいてきた静雄を見る。
差し出されたミックスオレを礼を言い受け取ると力尽きたpkmnたちに飲ませていく。

「負けちまった。約束通りアンタのモンになってやるよ」
「あぁ、これからよろしくな」



これがのちのデュラ地方最強と言われるコンビの誕生の瞬間であった。
そして、一部では最強のカップルとも言われていることは本人すら知りえない。






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炬燵さんへの誕生日プレゼント!おめでとうございました!遅くなってすみません!
BW2が発売され、炬燵さんがデュラモンを脳内プレイしていたので「よし!乗っかってやろう!」って思ってたんだけどどう見ても書けそうになかったので普通にパロにしました。

誰得ですか俺得です。楽しかった。静正?って疑問だけど静正なんだよ。






あきゅろす。
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