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牽制と奪略(青正帝)



「おはようございます。」
「よーおはよ、」
「おはよう、青葉君。」

冬も近づき寒くなる朝。
平日の朝、登校する生徒の間を駆け青葉は一つ年上である二人の先輩に挨拶をした。
まただ。
そこで青葉は思う。ほんの何気ない朝の一コマ。挨拶をした後輩はそれに気づき笑顔で返す先輩。
何処を見てもほのぼのしい日常などのだが、青葉が感じる違和感。
挨拶を返しながらさりげなく、違和感など感じさせないほどのさりげなさで正臣は帝人と青葉の間に入り込んだ。
二人を憚るように。必要以上に接触させないように。まるで帝人を守る様に。
それはこの一回ではない。正臣が来良に戻ってきてからのこの数か月。何度も何度も…。むしろそういうことがなかったということがないくらいに、帝人の青葉の間には必ず正臣が割って入っていた。
不審に思えど不快ではなく、事を荒げたてるつもりはないのだが、しかし不思議では思うと同時に何となく納得している自分のいる妙な気分になるのだ。
まぁ、帝人先輩を利用しようとしていた立場だし、正臣先輩としてはもう終わったことだと言えど親友に危害を加えようとしたやつは近づけたくないという心境なんだろうな。
そう納得するがしかし面白くない。
二人の先輩の話を聞きながら合わせて笑みや返答を返しながら青葉は思う。
紀田正臣が竜ヶ峰帝人ばかり構う風景が全く面白くないことを。
竜ヶ峰帝人ばかり見ている紀田正臣がムカつくことを。
自分を見て欲しいと。
青葉は思う。
帝人先輩(他人)ばかり見るな、構うな、気にするな。




♂♀




「青葉?どうしたんだ、話があるって…?」

放課後。人気のない教室に呼び出された正臣は不思議そうな表情で軽い足取りで教室の中を覗いた。目線の先に居る自分を呼びだした少年。真摯な面差しで正臣を真っ直ぐ見つめている。
雰囲気は硬く重苦しい。
眉を潜め、正臣はもう一度呼びだした理由を問う。

「話ってなん」

全てを紡ぐ前に正臣の身体が傾いた。
青葉から伸ばされた手は正臣の胸倉を掴み、引き寄せる。抗う隙もないままにバランスを崩した正臣は前のりに倒れ、そして青葉と影を重ねた。
そこに現れたもう一つの陰。
正臣も青葉もよく知る人物で、

「青葉君話ってなんだった?」

彼は重なった二人を見つけ凝視し、そして驚いた様に目を見開き困ったような笑みを浮かべ「ごめん」と一言だけ残して走り去った。
帝人の存在に気付いた正臣は青葉を突き離し帝人を追おうと走りだそうとするのだが青葉に腕を掴まれ引き止められる。

「話はまだ終わってませんよ?」

にっこりとほほ笑みその笑みは今まで後輩として接した中で見たことのない笑顔。
だが初めて見る笑顔ではない。
眉を潜め、睨むように返しながら正臣は低く聞いた。

「何が目的だ。」
「それはもちろん、」



【牽制と奪略】





欲しいものを手に入れる為ならなんだってやって見せる。
他人のモノだって奪ってやる。

これが俺の愛し方。







‐‐‐‐‐
正臣に片思い青葉が帝人にまたちょっかい出すんじゃないかと正臣に警戒されてて、ちげーよ、欲しいのはあんただよって言う話を書こうとしたはずなんだけどどうしてこうなった。きっと思いついてからの間が空いたことが原因だね☆
大変遅くなりましたがツイッターでお世話なっている青氷様へl誕生日プレゼントとして捧げます。こんな駄文でごめん……。






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