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黒ずむ黄色(臨正)




「引っ越しですか?」

自分から遊びに行くのではなく、久々に臨也から呼びだされた正臣は上機嫌で池袋の一角にあるマンションの一室を訪れる。そこには当然ながら自分を呼びだした臨也と、彼と引き合わせた少女、三ヶ島沙樹が並んで正臣を出迎えた。
部屋に上がる正臣は違和感を感じ、見慣れたはずの室内を見渡して異変に気付く。
寸分狂いなくきっちりと整っているのではないかと思わざるえない本棚は普段よりその数を減らし、モデルルームの様に新品同様な生活感のない家具たちはネットや布がかぶさっている。そして普段なら見かけることのない大きさバラバラの段ボールが床に散らばり。、それに詰められ始めるファイルや生活用品たち。

「そう、引っ越し。人手が足りなくてさ、手伝ってくれる?」

見渡す様子から浮かんだ疑問を正臣はぽつりと呟けば隣に立った臨也が肯定した。沙樹は正臣が来るまでやっていただろう荷造りを再開している。
臨也のお願いを断るわけもなく正臣は二つ返事で了承するのだが、新たに浮かぶ疑問。

「でもいきなりどうして…。何処に引っ越すんですか?遠いんですか?」

臨也の引っ越し先の場所。
今、正臣は彼から離れるわけにはいかないと感じている。
ブルースクウェアとの抗争中。その抗争の中の臨也はとても重要な立ち位置に居る。力も情報も劣る自分たちにもたらす臨也の知恵や力は代えがたいのもで、それがなくなるとなると言うことはつまり自分たちの負けを意味するということ。
彼の都合上の引っ越しなのだから自分たちの我が儘を通すわけにはいかないと正臣も分かっていても、それでも引き止めたい気持ちに駆られる。
そんな正臣の心情を察したのか臨也はクスリと小さく笑うと安心させるように正臣の頭を優しく撫でた。

「大丈夫、引っ越すって言ったってすぐそばだから電車に乗ればすぐさ。」
「でも…。」
「池袋に来ないわけでもないし、安心しなよ。どこにいても君の力になるよ。」

優しく優しく、小さな子供に言い聞かせるような穏やかな口調と優しげに頭を撫でる手、それほど遠くないと言い聞かされても、こう頻繁に会えないのかと思うと正臣の心は雲がかったままだ。例え引っ越しの場所が『新宿』と言う電車で1駅やそこらだといっても。自分たちのチームの事を、抗争の事を抜きにしても、正臣は今まで頻繁に会っていた彼との交流が今まで通りに行かないことに寂しさを覚えているのだ。
それを自覚しているのかしていないのか、正臣は捨てられる子犬のような瞳で臨也を見上げる。
目が合う臨也はそんな瞳に笑みを深め、彼が自分に堕ち始めていることを感じ試すように呟いた。

「それに池袋に居たらいつシズちゃんい出くわすか分からないからねえ。」
「『シズちゃん』…平和島静雄……」

池袋に居る臨也の大嫌いな存在、危険人物、平和島静雄。
臨也とよく命がけの追いかけっこをしており、怪我をしてくることも知っている正臣はその名前を聞いて瞳の色が変わる。
先ほどまで臨也に捨てられる子犬のような寂しさと悲しさの混じった弱弱しい瞳だったのだが今は全く逆だった。その瞳は目の前の臨也を見つめておらず、静かに怒りを燃やしているように感情を表に出していなかった。大きくくりくりしていた目を細め、獲物を見つめる狩人のような目を見て臨也は静かに静かに笑みを深めていく。
自分に染まりつつある目の前の中学生。
同じものを好み、同じものを嫌悪する。そのうち自分なしでは満足に歩いていくことが出来なくなるのではないか。
そんな依存し始めている少年が掴んでいる手を離したらどうなるだろうか。
想像するだけで楽しくなる。

「だから…近いからって仕事以外ではあまりこっちにこれないかな。」

試しに少しだけ突き放して見れば正臣は意識を何処へから臨也に戻す。だが、瞳の中の感情は変わらない。
そして告がれた言葉に臨也は密かに興奮した。

「あんな奴、消えればいいのに」




【黒ずむ黄色】












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ツイッターのフォロワ―様、きりくず様への誕生日プレゼント!
久しぶりに臨正熱が来てる!臨也←正臣もいいよね!めっちゃ臨也に懐いてる正臣とか臨也に素直な正臣とか、中学生時代万歳!
臨也に感化され始めて静雄を敵視して嫌悪感抱く正臣とか後で思い出したら後悔するようなことばかりやってればいいな!
遅くなりましたが、きりくず様、誕生日おめでとうございます!不満でしたら書き直しますゆえなんなりとお申し付けください!





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