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100回「愛してる」って叫んでも足りない!(戦争)



窓から見える空は雲一つない晴天で、その窓に掛かるカーテンの隙間から零れる朝日は些か眩しくて、耳を澄ませば微かながらに聞こえてくるのはチュンチュンという雀の鳴き声。
快晴、快調な休日の朝。

俺、紀田正臣はもうすぐこの世をおさらばするかもしれません。



♂♀





右隣を見れば眉目秀麗。
左隣を見ればどこかの俳優に似た顔。
どちらも見た顔で、それが一緒に居るということは、ただの俺の死亡フラグです。

どうしてこうなった!?

精神的と物理的に身動き一つ取れない状況で俺は頭をフル回転させる。
俺は誰?紀田正臣。
ここはどこ?俺の部屋。
よし、記憶は正常だ。
では寝る前に何をしていただろうか。いつも通り、適当に時間を潰して眠りに就いた。そう、寝付くまでこの二人は居なかった。影形、これっぽっちも。
なら何故起きたらこの二人がいるのだろうか。
寝ている間に侵入してきた?何の為に…。いや、臨也さんなら理由なくやりかねないだろうけど…。でも静雄さんまで何で。
思いつきもしないその理由に悩まされるが、今の問題はそこではないことに気付く。
この二人、どちらかでも起きればここは戦場、いや、殺人現場となるだろう。つまり、この二人の巻き添えを食わない為に早急に移動する必要があることに。
てか、この二人酒臭いんだけど何してんだ…。

♂♀


ちなみに、当人の想像通り、正臣が寝ている間に侵入してきた臨也と静雄。
道中で出会った二人はいつも通り喧嘩となり、気付いたらどちらが正臣の事を好きかと言う話になる。
そしてどういう経緯なのか正臣の部屋に侵入し、寝ている想い人を前に愛の言葉を紡いでいく。途中からは正臣が隠していた酒を見つけ、それを煽りながら飲み比べに移行し、酒の力も入り、放送禁止用語が混じっていたことは寝ていた正臣は気付いていない。知らない方が幸せだろう。
そうこうして力尽きた面々が正臣を押し倒す形で深い眠りに就いているのである。

♂♀


臨也さんには腕をがっしり掴まれ、静雄さんには最早上に乗られる形で身動きが出来ない。
二人ともすやすやと気持ちよさそうに寝息を立てていて、幸いにすぐに起きる気配はない。
抜け出せないかと少し体をずらすがそうすれば臨也さんの腕を掴む力が強まり、静雄さんの顔が渋る。無理矢理抜け出せは起きてしまうかも知れない。
どうしよう。
仰向けのまま真っ白で日焼けした天井を見つめる。
このまま二人が起きるのを待つしかないのかと思っていると耳に何か音が入ってきた。
何の音だろうかと首を右に向ければ満面な笑みが視界に入り思わず「うげっ」っという言葉が漏れてしまう。

「そうそう、いい子だね」
「…何の夢を見てんだ…この人。」

何か夢でも見ているのだろう、臨也さんがいつもよりは毒気のない笑顔で何か呟いている。
寝て黙っていればマシな人なのになんで口を開けば残念なんだろうな…。寝ている相手をまじまじと見ながら考えてしまう。今までこの人に何をされたか。どうしても突き放せないのか。相手の事から自分の事、この人と自分の関係性。
考えても考えはまとまる所か堂々巡りで意味をなさない。
はぁ、と溜息をつくと臨也さんの表情のまた変化があった。
どんな内容の夢なのか、先ほどまでの笑みは消え去り、臨也さんには珍しく悲しげな表情だ。
何か言っているけど今度は聞こえない。聞いてはいけない気もする。
それでもいつも飄々としている臨也さんがこんな表情するなんてどんな夢を見ているのか知りたい。
後悔は先に立たず、そんな諺がある様に俺は好奇心とほんの少しの何かに引かれ耳を澄ませた。

「…い…高かったのに…酷いよ正臣君。」
「自業自得っぽいな」

聞こえたほんの一部の言葉に自己完結させる。絶対この人ろくな夢見てねぇ。
でも、俺が出ている夢を見ているのは悪い気はせずそのまま放って置くことにした。
反対側に顔を向ければ俯せに寝ている静雄さんが目に映る。こっちはすやすやと気持ちよさそうな寝顔で夢すらも見ずに寝ているようだ。

「ん…紀田…」
「え」

そう思った矢先に聞こえてきた呟きに驚いた。
静雄さんまでも俺の夢を見ているというのだろうか。
名前が出た時に浮かべた笑みが忘れられなくて鼓動が早くなっていくのが感じる。
ドキドキと煩い鼓動。聞こえてしまうのではないかと言うほど高鳴ってる。
臨也さんの事も嫌いになれず静雄さんに興味を持ってっもらえるのがうれしい。
どっち付かずな俺に二人はどう思っているのだろう。
そんなことを考えていた時、まるで心を見透かされたように、意識は夢の中のはずの二人から同時に囁かれる言葉。

「「愛している」」

紡がれる愛の言葉。
起きているのかと二人を交互に見るが二人とも瞼を閉じたまま、起きた気配もない。
色んな意味で動きを早める心臓を止めるように俺はもう一眠りすることを決めた。
起きた時、戦場でも殺人現場でもないことを願う余裕すらなく。
俺は夢へと逃げ込んだ。



【100回「愛してる」って叫んでも足りない!】











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ましかさんの誕生日が今月だったということで贈らせていただきます!臨也と静雄に死ぬほど愛される正臣!
死ぬほど、っていうのがR的なのしか浮かばなくって……どうにかならないかなーって考えたら物理的になった罠。どうしてこうなった^q^
殆ど正臣の独白で終わってますが、……こんなものでもよかったかな……。
ましかさん、誕生日おめでとうございます!小説遅れちゃってごめんなさい!
つたないものですがもらってやってください。気に入らなかったら書き直すのでお気軽にお申し付けください!ではでは、誕生日おめでとうございます!これからもよろしくお願いしますね。





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