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同じ歩みの異なる成長(臨正帝)




いきなりだだけど、正臣が小さくなった。

「やっぱりちっちゃい正臣君は可愛いなぁ。黒髪の正臣君もなんか新鮮だし。」

言わずともこの正臣のストーカーの手によって。

事の始まりは十分前。
夏の暑さにバテ気味の僕を心配してくれた正臣が今日だけでも泊まっていけと言う気遣いから正臣の家に泊まる流れになった今夜。お風呂も終えてTVゲームに興じていると窓から事もなげに侵入してきた不審者、折原臨也を正臣が追っ払っている時、不意に臨也さんが正臣に何か食べさせたと思うとみるみる正臣が小さくなっていくではないか。
5歳児サイズになったところで収縮は止まり、何が起きたか分からない正臣はきょとんと合わない服を着て立っている。

「おかしいな、猫耳が生える予定だっただけど…失敗か…あ、帝人君いたん、アーッ!」

いきなり小さくなった正臣に慌てる僕をよそに元凶である臨也さんは不思議そうに首を傾げて呟いた言葉に僕は手短にあったボールペンを突き刺した。
この人はろくなことをしない。
身体だけではなく精神まで小さくなってしまったらしい正臣を臨也さんから守るように抱きかかえ、どうしたら戻るだろうかと肩を竦めた。


そんな十分前の出来事を思い出しながら今は臨也さんの膝の上で漫画を読んでいる正臣を見る。
一向に戻る気配はなく、臨也さんの言うことを信じれば一晩の効力らしい。つまり寝て起きれば元に戻っているらしい。
朝戻っていなかったらどうしようかと思いながら今は様子を見るしかない。

「って、なんで臨也さんがまだいるんですか?」
「可愛い正臣君を一人さびしく放って置けるわけないでしょ」
「僕がいるんで心配なく静雄さんと夜の追いかけっこでもしてきたらどうですか?」
「アハハ、帝人君は相変わらず面白い冗談を言うね。」
「えぇ、99.9%は本気ですが」

21時も過ぎ、小さい子供にはそろそろ眠たくなる時間なんだろう。うとうとし始めた正臣を臨也さんから引き離すように 抱きかかえ、臨也さんの帰宅を勧めた。しかし簡単に引き下がる相手でもなく、最終的には無視するように正臣に語りかけた。

「正臣、もう寝る?」
「ん……まだおき…る…」
「僕もそろそろ寝るし、もう寝よう?」
「ん…」

目を擦りながらまだ一緒に遊びたいのか首を振る正臣が可愛いなと思うが限界が近い正臣はもう目を閉じかけている。
寝かしてしまおうと僕も寝ることを告げれば小さくコクリと頷いた。
力なく体を預けてくる正臣の背中をぽんぽんと叩きながらベットに向き直るとそこには存在を忘れていた臨也さんがおいでおいでと自分の隣を叩いていた。

「正臣、ちょっと待ってって?」
「みかど……?」

ベッドを整える為、抱きかかえた正臣を下ろして臨也さんに向き直るときょとんと僕を見て首を傾げていた。

「臨也さん、帰ったんじゃなかったのですか?」
「誰も帰るなんて言ってないよ?」
「…で、何をしているんですか?」
「ん、正臣君が眠たそうだから添い寝してあげようかなって。ほら、あれくらいの年頃の子供ってさびしがり屋じゃないか。まだ一人で寝かすには早いんだと思うんだ。だから、ね?」
「そんな心配は無用なので帰ってもらっても大丈夫ですから。正臣は僕が面倒見るので。」
「学生の君が小さな子供を世話するのは大変だろう?俺に任せていいんだよ。」
「いいえ、お気遣いは有り難いですが結構なので…臨也さんもお仕事忙しいでしょう?正臣のことは僕に任せてそちらに集中して下さい」
「君が心配するようなことはないよ。俺には優秀な部下がいるしね。それに正臣君の面倒を見る余裕ぐらいはあるさ」
「………とりあえず正臣寝かしつけるのでどいてもらえますか?」
「それは俺がやっておくよ。君は邪魔にならないように床で寝たらどうだい?」
「不法侵入の犯罪者が何を言っているんですか、通報されないだけマシだと思ってくださいよ?」
「不法侵入とか酷いなぁ。俺はただちょっと勝手にお邪魔しているだけだよ?」
「それを不法侵入というんですよ。」

何を言っても無駄なのか、何も手応えがない。糠に釘と言う言葉がぴったりだ。
一向に引こうとしない臨也さんにどうしようかと考える。いっそうのこと警察でも呼んでしまうか。それはやり過ぎだとしても静雄さんやセルティさんに相談するとか…。
そんなことを考えていると後ろからギュッと抱きしめられる感触に振り向いた。
目に映ったのは拗ねた様に頬を膨らませた正臣の姿。

「帝人と臨也さんばかり狡い…俺も俺も!」

眠たげな眼で、少し淋しい色を見せながら、正臣が抱き着いていた。
どうやら僕と臨也さんのやり取りが正臣には遊んでいるように見えたらしい。一人蚊帳の外な正臣は淋しくなったのか構ってと訴えている。

「帝人ー!」
「……」
「……」

すりすりと甘えてくる正臣に僕は困ったように臨也さんを見つめ、そして考えていることが分かったのか臨也さんは肩を竦めて笑った。

「臨也さん、」
「はぁ、仕方がないね」
「?」

甘えてくる正臣を抱き上げ、臨也さんが空けてくれたスペースに寝かしつける。正臣を間に挟み臨也さんの隣に僕も潜り込めば電気を消した。
一つのベッドに、三人。いくら一人は小さな子供だとしても狭い。
でも正臣が幸せそうに笑い抱き着いてくるので文句は言えないな。

「正臣も一緒だよ。」
「おやすみ」
「う…ん…」

安心して眠たくなったのか、うっつらうっつらしている正臣の髪を撫でてやれば頷きながら眠ってしまった。規則正しい寝息を聞き朝には戻っているのかと少し残念に思う。
一緒に成長してきた僕ら。
だからこそこういうことは新鮮で、楽しい。正臣には悪いとは思ったが、たまにはこういう経験もいいかもしれないなと思いながら僕も眠りに就いた。





【同じ歩みの異なる成長】






「…どうなってんだよ」

朝、起きると正臣はちゃんと戻っていて、

「まさおみー?」
「?」

今度は僕と臨也さんが小さくなっていた。







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誕生日おめでとう!かなり過ぎちゃったけど許してね、すーちゃん!あとリクに沿えてなくてゴメン(汗)
そして何故か幼児化してるのはきっとうさぎドロップっていうアニメに影響されたからかと…。小さい子って可愛いよね。
ではではすーちゃんこと水蘭様のみお持ち帰り書き直し申請などなど受付ます!
すーちゃん!これからもよろしく!







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