嘘の中の真実(臨正) 「臨也さん!今日は4月1日です!」 「…………は?」 仕事をしていると正臣君がいきなり乱入してきた。彼が呼び出しもなく俺の部屋を訪れるなんて珍しく何の前触れかと彼の様子を見ていると開口一番これである。 この子は頭でも打ったのだろうか。 今日は彼の言う4月1日から5日後、もう4月6日だと言うのに何が言いたいんだ? 「だから、臨也さんなんか大っ好きです!」 「…………は?」 俺の疑問を無視して話を進める正臣君からは満面の笑みで告白された。 ますます意味が分からなくなってきた。 いつもなら俺に「大嫌い」だ「死ね」だ言う彼がどういう風の吹き回し…… ……あぁ、そうか。 「アハハッ酷いな、正臣君。でも俺はそんな君を愛していないよ。」 エープリルフール。 彼は開口一番に言ったではないか。「今日は4月1日です。」と。つまり時期外れのエープリルフールということか。 俺の返答を聞いて正臣君はパァッと更に笑顔を作った。俺の返答が満足いくものだった、っていうことなのかな? え、つまりエープリルフールだから「愛していない=愛している」ってことでしょ。正臣君もついにデレk 「でも俺は臨也さんを愛してますよ。」 …ですよね! にしてもいきなりどうしたっていうんだ。 突拍子過ぎて真意がイマイチ読み取り難い。でもまぁきっと誰かの入れ知恵かで新な俺への嫌がらせなんだろう。わざわざエープリルフール当日ではなく別の日をエープリルフールという前提でこんなお遊びを始めるのだから。 「臨也さん、ありがたくその言葉頂きますね。」 「何、どういう意味?やっと俺を受け入れる気になったの?」 「寝言は寝ていってください。こういう意味ですよ。」 それにしても正臣君はどういうつもりなのか。 疑問に思っていると何処からともなく取り出したボイスレコーダーを俺に見せ、ボタンを押した。 そこから流れる声は先ほど俺が発したもので。 そんなものなんだっていうんだ。 「だから?」 「つまり臨也さんはあんた自身で俺の事『愛していない』と言ったんです。だからもう付きまとわないでくださいね?」 「とんだ詭弁だ。それに今日はエープリルフールだろ?」 「誰もそんなことは言ってませんよ。」 「……?」 「俺は『今日は4月1日』と言っただけで『エープリルフール』とは言ってません。じゃ、俺はこれで。」 「…あ、ちょ、正臣君!」 詳細…彼の目的の一端が見え、この言葉を撮るためにこんな茶番をしたのかと肩を竦めた。言葉は時に証拠になるがそれがどうしたというのだ。上辺だけの言葉に気持ちがどうこう出来るわけがない。 付き合ってられないと彼が一番初めに言ってきたことを持ち出すとまるで言葉遊びの様に否定してきた。 そして用は済んだという様に俺の言葉を聞く前に踵を返して彼は早々に帰ってしまった。 『エープリルフールとは言ってない』、ねぇ? 「全く素直なんだか素直じゃないんだか…」 つまり、君が発した言葉は…………。 【嘘の中の真実】 ‐‐‐‐‐‐‐‐ サイト復活一発目は臨正! なろに他ジャンルのキャラを描いてもらう代わりに…という約束したので丁度エープリルフールネタも書きたかったので書いてみた。当初の予定ではもっと臨也をおちょくって遊ぶつもりだったのにどうしてこうなった。 まぁ、いいか。これからちょくちょく更新頑張るんだから! |