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おやすみ、良い眠りを(臨正)



暗い暗い室内。月明かりすらも遮られた室内で正臣は目を覚ました。暫くぼーっと天井を見ていたがゆっくりと体を起こせばサイドボードの上に置かれた携帯を手に取り適当なボタンを押す。明るくなるディスプレイに表示される時間を見て再びポスンとベッドに横になった。

「…まだ2時かよ。」

表示された時刻は丁度2時を回ったところ。変な時間に目を覚ましたと再び眠りに就こうと目を閉じる。しかし完璧に覚醒してしまった意識では直ぐに眠りに就く事が出来ず無意識に何度か体勢を変える。それでも眠る事が出来ず正臣は仕方がなく起き上がった。
睡魔が訪れるまで何かしようか。起き上がったまま考えるが何かしたいとも思えず途方に暮れる。これだけは嫌だったのにと思いながら正臣はゆっくりと立ち上がるとあるものを持って部屋から出て行った。


一方隣室には同じ様に眠りに就く臨也がいた。いつもとは裏腹に無防備に寝る彼を見つめる影。そっとその影が手を伸ばすと臨也が目を覚まし影が反応する前に腕を掴むとベッドの中へ引きずり込んだ。押し倒す形に上に跨がると臨也はニイッと口端を釣り上げる。

「正臣君から夜ばい?珍しい事もあるんだね。」
「誰がっ!」

己の下で顔を歪めるその姿に愛おさを感じながら臨也は正臣を解放してやる。直ぐに起き上がり何処かに行くのかと思った臨也だが、その考えとは裏腹に正臣は動こうとしない。そして視線をさ迷わせ、小さく何か呟いた。

「何?」

小さな呟きは臨也の耳に届く事はなく、ただの音として消える。正臣のらしからぬ行動、小さな呟きも逃さないと言うように臨也は聞き返した。

「ただ…トイレの帰りに部屋を間違えただけです。移動するの面倒なんでお休みなさい。」

むすっとまるで小さな子供が拗ねるような表情を作りプイッと顔を背ける正臣。面を食らった様にキョトンと臨也が驚いている隙に布団を頭まで被り正臣は背中を向けた。正臣の頭に余分にある枕に気付くと臨也はクスリと笑い布団の上から頭を撫でた。

「じゃあ、俺のベッドは正臣君に取られちゃったし、俺は正臣君のベッドで寝ようかな。」

そのつもりは全くないのだが、試す様に言葉を紡ぎながら臨也は立ち上がる。すると思い通り、布団から伸びた手は臨也の服を掴み引き止めた。
何?と言葉にはせず、笑みを浮かべたまま首を傾げ次に掛かるだろう言葉を予想し待つ。

「…そう言って部屋を物色する気でしょ。……一緒に寝ればいいじゃないですか。」

服を掴んでいた手が離れ、次には腕を掴まれ臨也はベッドへと引きずり込まれた。いつもよりやはり積極的な正臣に多少予想が外れ驚いている臨也を他所に正臣は臨也に抱き着くと目を閉じた。暫くもしない内に規則正しい寝息が聞こえ始め正臣が眠りに就いた事に気付き、同時に乾いた涙の跡に気付いた。

「…まだまだ子供だね。」

怖い夢でも見たのだろうか、それでも素直になれずに理由を付けてベッドに潜り込む愛しい恋人の額にキスを贈り、今日は悪戯も何もしないで寝かせてやろうと優しく抱きしめた。


【おやすみ、良い眠りを】







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弐萬打フリリク2つ目は雷流様の『臨正。ツンデレ正臣。』でした。ツンなのかデレなのか…何だかんだ言ってベッドに潜り込む正臣が可愛いなぁと思いまして…。
雷流様のみお持ち帰り、苦情、書き直し受け付けています。
企画参加ありがとうございました。





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