その笑顔は反則だから(帝→←正)
多分、僕は正臣が好きなんだ。友達としてじゃなく、それ以上として。
でも僕はその事を伝えるつもりはない。
「みーかど!おっ待たせ。」
「うん、もういいの?」
「おう!ただの連絡事項だけだからな。」
放課後、委員会がある正臣を待って一緒に帰る。
日常となりつつあるその光景に違和感も不満もない。でも敢えてあるとするなら、
「今日もナンパして帰ろうぜ!」
「えー、また?今日は止めようよ…」
正臣が別の方向を見ているって言うことだ。僕といるなら僕だけを見て欲しい。それが無理でも、せめて、せめて二人だけを楽しみたい。二人だけで帰って、二人だけで遊んで…。
「ムリムリ、世界中の美少女達が俺をまっ」
「ナイナイ。」
「せめて全部言わせろよ!」
いつものように正臣に軽いツッコミを入れながら鞄を肩に掛ける。さぁ、帰ろう。誰も居ない教室、二人だけの空間も終わりにしよう。どうせ叶わぬ願い。どうせ伝えぬ想い。気付いて貰いたいなんて思わない。ただ、今だけで十分。
「ったく、それだから杏里との仲も進展しないんだぞ!」
でも、やはり正臣の勘違いや行動には不満がある。
どうしてそこに繋がるのか分からない。と言うか園原さんとは何でもないと何度言ったら分かるんだろう。
背後でぶつぶつ何か呟いている正臣に足を止めて振り返る。
「園原さんは関係ないってば。あるとするなら…」
伝える気はないけれど、それでも膨らむ想いはどうしようもない。
そっと顔を近付け、なんだ?と小首を傾げる姿に愛おしさを膨らましながら、頬にキスを贈る。
「正臣だよ。」
「…………は…え、え?!」
「じゃぁ、また明日。」
本当軽く触れただけだけど、顔を真っ赤にして何が起きたのか分からないと言うように慌てる正臣に可愛いと思いながら踵を返す。
あぁ、明日からどんな顔で会えばいいかな。
「み、帝人!」
一人で帰ろうと歩を早めていると鞄を捕まれ強制的に止まる事を余儀なくされる。振り返ればまだ顔が赤い正臣が何かいいたげにあぁでもない、こうでもないなどと呟いている。小さく動いていた口が締まり、真剣な正臣と目が合う。
「俺も、… 。」
頬を染めて、言うのは恐れて言えないけれど、一番聞きたかった言葉を笑顔で紡がれる。
あぁもう、
【その笑顔は反則だから】
それじゃ、僕に逃げ道がないじゃないか。
「うん。正臣、愛してる。」
こうなったら何処までも壊し続けてしまおう。
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帝正企画、『汝の隣人を××しなさい』様に提出させて頂きました!
頭の中のプロットが意味を成さなかった…。
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