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願いは色褪せることなく(帝正)

※過去捏造(妄想)有。
幼少期⇒現代。






祭囃子が聞こえる。軽快な音を立てて始まるお祭り騒ぎ。道の両脇に並ぶ様々な出店。射的、金魚掬い、お面売り…。
早く、と友人の手を引いて急かしては人込みに紛れていく小学生頃の少年二人。

「帝人、今日は屋台制覇だ!」
「お金足りるの、正臣?」
「帝人のも合わせれば大丈夫だろ。」
「ちょ、何ナチュラルに僕を巻き込んでるのさ?!」

並ぶ出店を伺い何処からまず入るかと悩みながら正臣は早くも人込みに翻弄され疲れた様子を見せる帝人に声を掛ける。帝人の反応は当然と言えば当然のもので、だがあからさまな嫌がり様は見せない。帝人自身もまた、正臣と楽しむ事を決めているからだ。

「えー良いだろ?勿論お前と分け合うつもりだし、楽しさ、美味さを分け合え一石二鳥!」
「はぁ…素直に二つ買おうよ。」

溜息を一つ付いていると一番始めの目標を決めた正臣は帝人の手を引いた。

「よし、まずはたこ焼きからだ!で、次はかき氷だろ、焼きそばに焼きとうもろこし!」
「食べ過ぎだよ。」
「大丈夫、大丈夫!それからは遊びまくるからな!」

今日が楽しみだったと顔に書いてあるようにはしゃぐ正臣に帝人も仕方がないなと肩を竦めた。振り回されているようで、帝人もまた楽しんでいる。正臣と過ごす時間を。正臣と一緒に居られることを。

正臣は着々と屋台制覇をしていき手には戦利品。こんなにも取ってどうするつもりだろうと戦利品の半分を持ちながら正臣に付いて行っていると帝人はふと今夜の主役を見付けた。

「正臣、先にあっち行かない?」
「んー?」

いか焼きを頬張りながら正臣は帝人の指差す方を見た。開けた場所に飾られる大きな笹。葉からぶら下がる色とりどりの短冊に気付き正臣の口端が釣り上がる。
今宵は七夕。短冊に願いを書いて吊しておくと願いが叶うと言われている。このお祭りも七夕を祝うもの。主役を忘れては何の為に祭りを訪れた事になるか。
笑顔を作り、頷くと二人は並ぶ屋台道から外れた砂利道を歩く。長机に置かれる彩り豊かな短冊を適当に一枚ずつ取り二人して願い事を書きはじめた。

「なぁ、帝人。何て書いたんだ?」
「…内緒。」
「別に良いじゃねーかよ!」





♂♀





「…―ぉみ?」

「正臣?」
「ん、あ…?」
「どうしたの、ぼーっとして。」
「あ、いや、…今日七夕だなーって考えてたら昔お前と行く祭が最後になっちまった七夕祭を思い出してな。」
「あーあのあといきなり正臣転校しちゃったもんね。」
「あぁ…悪いな。願い事叶えられなくて。」

駅前に設置されていた大きな笹。小さな子供や遊びで短冊を飾る人がいるらしくその笹にはかなりの短冊が吊されていた。それを見ながら正臣は過去に思いを馳せて、4年前の七夕で隣の友人が書いた願い事を思い出し苦笑を零す。
仕方がないよ、と返す帝人は笹と一緒に設置されている短冊とペンを正臣に見せるとこう言った。

「新しい願い事しよ?」
「…そうだな。」



【願いは色せることなく】




吊された2枚の短冊。
書かれた願い事を見て帝人は苦笑と共に肩を竦めた。

「正臣…相変わらずだね。」
「だろ?『世界中の美女とよろしくやる!』我ながらなかなか良い願い事だ!帝人は?」
「『馬鹿に付ける薬が見つかりますように。』」
「帝人も大変だな。」
「…馬鹿=正臣ね。」
「お前の愛が痛い。」

ひらひら風に揺れる2枚の短冊。それぞれ裏に書かれた別の願い事が見えて二人して微笑んだ。

「まぁ…結局は変わらないよな。」
「うん。」

『いつまでも一緒にいられますように。』





♂♀






「「願いはいつ叶うのだろう(な)。」」

今年の七夕の飾りを見て、別々の場所に居ながら二人はそう呟いた。








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ギリギリセーフ!七夕小説出来上がりました!1〜2時間の低クオリティー…はいつものことですね。
おかしいな、当初の予定では杏里ちゃんもいて三人仲良く、の予定だったのはずが杏里ちゃんどこ行った?!そしてラストが蛇足過ぎる件w
甘で終わればいいのにw
とにかく七夕小説でした!






あきゅろす。
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