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思い出話に花を咲かそう(静臨?)


「うわぁ懐かしいな。」
『…何を見ているんだ?』
「あ、セルティ。これ、来神学園の卒業アルバムなんだけどね。」

古書を整理していたら出て来た母校の来神学園の卒業アルバム。整理していた手を止めてパラパラ中を見ていたら愛しのセルティが隣へ掛けた。

『あいつら相変わらずなんだな。』
「そうそう、出会ったら即喧嘩。この頃の学園は一番荒れていたよ。なんたって臨也と静雄がいるからね。」

今は平和らしい母校を思いながら僕は懐かしい学園時代に思いを馳せた。


♂♀


来良学園がまだ来神学園と呼ばれていた頃、僕達は通っていた。

「いぃぃざぁぁああやぁぁああ!」

そして何時も通りに響き渡る静雄の怒声と破壊音。今日は何が破壊されたのかと教室の窓に近寄り校庭を見ると朝礼で使う台が地面に埋まっていた。その隣に立つ人影を見付けて本当仲が良いなと笑う。ほら、喧嘩するほど仲が良いとう奴だよ。
朝礼台が隣に飛んで来たのに余裕で笑う臨也を見ながら今度は何が起きるのかとドキドキしていると殴りかかる静雄の姿があった。それを軽く交わしてナイフで切り付ける臨也。いつもながらの喧嘩風景。

「岸谷、もう授業始まっているぞ。」
「あ、すみません。」

チャイムがいつの間にか鳴っていたらしく教科担当の注意を受け、背後に怒声と破壊音、笑い声を聞きながら席へと戻った。
この学校ではもう彼らの喧嘩は日常茶飯事だ。だからもう誰もか気に掛けない。いや、気に掛けられないと言うべきかな、この場合。何たって関われば無事で済まない事は分かりきっている。あの二人の喧嘩は天災厄災と思うしかない。つまり、過ぎ去るまで何もするなと言うことだ。
酷くなる騒音をBGMに今日も平和に授業が開始された。


「あれ、もう終わったの?」
「…逃げやがった。何時までも逃げ足だけは早ー奴だよなぁ、次こそ殺す。」

昼休み、屋上へと訪れれば先客がいた。校則は割と自由だから許されている染色をした同期生。人間とは思えない怪力を発揮してくれる静雄だった。喧嘩から余り時間が経っていないのにも関わらず静雄が収まり切らぬ怒りを抱え昼食を取る姿を見て純粋な疑問をぶつける。今にもキレてしまいそうな静雄だったけど一応返答はしてくれて、「頑張れ」とだけ臨也の身を案じながら隣に掛けて僕も買ってきた昼食を広げた。

「本当、何時も君達は一触即発だね。まぁ、出会い頭のことを思えば当たり前とも言えるけど。」
「あぁ?あーんだ、あれだ、俺はアイツをただ殺してぇだけだよ。なんつーの?泣き顔…あのムカつく顔を歪ませてぇんだよ。」

あ、それ僕のなんだけど。話しながら当たり前の様に広げたパンを一つ取る静雄を見つめ、ふと引っ掛かりを覚える。確かにムカついているんだろうなっとは思うけれど、しかし余り深く突っ込むと自分の身が危ないので聞き流す事に決めた。
それから静雄は何かと臨也の話しをしてはキレ掛けて最終的には屋上を後にして行った。勿論「臨也殺す」と何度も復唱しながら。
臨也大丈夫かな。まぁ彼の事だから脱兎の如く難無く逃げ仰せるだろうけれどね。
予鈴を聞きながら僕は教室へと戻ろうとした。

「本当、シズちゃんって怖いねえ?」

ら、掛かる声に周りを見渡す。すると貯水タンクの上に指定のブレザーではなく学ランを纏う姿がある。この学校でそんな人物はただ一人で、降りてきた姿を確認して応えた。

「怒らせなければ普通だよ。今日も静雄で遊んでいたようだけど度が過ぎて本当に殺されても知らないよ?」
「大丈夫、大丈夫。そんなヘマはしないよ。」

ヒラヒラと笑いながら手を振る臨也に彼なら大丈夫だろうし、仮にそうなったとしても自業自得かとそれ以上何も言わない。しかし頬にある擦り傷を見て絆創膏を渡した。

「怪我は程々にね。治す医者も暇人じゃないわけだし。」
「あぁ、ありがとう。好きで怪我してる訳じゃないんだけどな。あぁ、痛みは生を感じる瞬間とも言うよね。」
「何、臨也、君ってM?」
「新羅、過ぎる口は何時か禍を招くよ。」
「過ぎる行動は何時か死を招くんじゃない?」
「自分の力を過信する馬鹿はね。じゃあ、シズちゃんに見付かる前に俺は帰るよ。」

貯水タンクの上で寝ていたのか欠伸を零しながら臨也も屋上を出て行った。暫くしない内に階下から聞き慣れた怒声と破壊音が聞こえて臨也と静雄が鉢合わせたことを悟る。

「…にしても本当飽きないよね。彼等は。」

今、階下に行けば確実に巻き添いを喰らうだろう判断すれば暫く屋上でサボる事に決めた。晴れ渡る青空を見上げて飲みかけだったコーヒーを喉へと流した。


♂♀


「思えばあの頃から静雄と臨也は引かれ合っていたのかも知れないね。こういうのは運命の」
『新羅、ストップ。』
「赤い糸…ってどうしたんだい、セルティ?」
「楽しそうな話しをしてんじゃねぇか、新羅?」
「や、やぁ、静雄。来てたんだ?」
「あぁ、鍵が相手たから勝手に上がらせて貰った。なぁ、俺も入れてくれよ?」





【思い出話にを咲かそう】







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SとMってどう表現すればいいんでしょうね?しかも無自覚。…静臨を書くだけで精一杯でした、寧ろ静臨?ですけどねw
ではでは26つ目は霰様リクエストの『静臨。無意識SMな二人。』でした!
霰様のみお持ち帰り、苦情、書き直し受け付けています。企画参加ありがとうございました!





あきゅろす。
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